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 米マイクロソフトは2012年10月16日(米国時間)、同社が開発したタブレット端末「Surface」の予約受付を開始した。Windows 8と同じ10月26日に発売する。ハードウエアとしてARM系CPUを搭載し、OSにWindows RTを採用する「Surface with Windows RT」の32GBモデルが499ドル、キーボード付きカバーをセットにした32GBモデルは599ドル、同じくキーボード付きカバーをセットにした64GBモデルが699ドル。まずはこの3モデルを販売する。

 Surfaceは、同社が2012年6月に発表したタブレット端末。特徴は、同社が「タッチカバー」と呼ぶ、キーボード機能を備えたカバーを装着できる点だ。3mmという厚さの中にタッチセンサーを内蔵。本体側面に磁力で取り付けて、キーボードとして利用できる。タッチカバーは、黒、白、マゼンダ、シアン、赤の5色を用意する。タッチカバーの単品価格は119.99ドル。Surfaceとのセットモデルでは、黒のタッチカバーが付属する。通常のキーボードと同様にキーを押す感覚が得られる可動式のキーボードを備えた「タイプカバー」も、129.99ドルで別売する。

 店頭では、米国やカナダにある同社の直営店(マイクロソフトストア)に加え、34カ所の仮設ストアで販売する。オーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、英国、米国のオンラインストアでも販売する。発売当初は、日本では販売しないもようだ。

 Windows RTには、Windows RT向けの「Office Home and Student 2013 RT」がプリインストールされるが、同製品は現在開発中。そこでSurface with Windows RTには当初、同製品のプレビュー版がプリインストールされる。11月に完成する予定で、Windows Updateを通じて製品版に無料でアップデートできる。

 Surfaceには、CPUとして米インテルのCore i5シリーズを搭載する「Surface with Windows 8 Pro」も用意される。ただし、マイクロソフトは6月時点で、このモデルをWindows 8の発売から約90日後に発売するとしていた。現時点では「Comming soon」(近日登場)と表示されている。

垂直統合型への転換

 Surfaceは、企画や設計、技術開発、販売の全てをマイクロソフトが行う点が注目されている。同社は以前から、マウスやキーボードなどの周辺機器、家庭用ゲーム機「Xbox」といったハードウエアを自社で手掛けているが、パソコン本体やタブレット端末は自らハードウエアを作らず、メーカーに多様なハードウエアを提供してもらう“水平分業型”の戦略を採ってきた。多数のパートナーから成る「エコシステム(生態系)」こそが、これまでのWindowsの強みと言ってよい。米アップルがOSからハードウエア、コンテンツまで全て自社で手掛ける“垂直統合型”で成功したのとは対照的だ。

 ところがマイクロソフトは、Surfaceで垂直統合型の事業モデルへと大きく舵を切った。10月26日には、Windows 8やWindows RTだけでなくWindows Phoneでも利用できる音楽配信サービス「Xbox Music」の提供も始める。Windows 8の立ち上げに当たって同社は、非常に細かく情報を統制。Surfaceについては完全な秘密主義をつらぬいて開発し、業界を驚かせた。こうした手法は、アップルを強く意識したとみられる。

 一方、これまで良好な関係を築いてきたパートナー各社は心穏やかではない。従来は協力関係にあったマイクロソフトが自らタブレット端末を手掛けることになれば、非常に強力なライバルとなるからだ。

 ハードウエアメーカーにとって、マイクロソフトが提供するOSやOfficeのライセンス料金は、製品の価格を下げる上での大きな負担になっている。ところが、マイクロソフトが自社でハードウエアを手がけるとしたら、OSやOfficeのライセンス料金が不要になるので、他社よりも確実に安くできる。Surfaceの価格次第では、マイクロソフトがWindowsを採用したタブレット端末の市場で“一人勝ち”になる可能性があった。

 そのため、Surfaceの価格はこれまで大いに注目されてきた。199ドルや300ドルといった憶測もあったが、ふたを開けてみれば本体のみで499ドル。パートナー各社を配慮しつつ、「iPad」と同等の値付けをしたと言えるだろう。