KDDIは2013年9月2日、4月~5月に発生した通信障害の対策と今後のLTE網の強化に関する説明会を開催した。現在はAndroidスマートフォン向けに提供している800MHz帯で通信速度が75MbpsのLTE網を強化し、2014年3月までに人口カバー率を99%に拡大する。
KDDIがLTE網で利用している周波数帯は、800MHz帯、2.1GHz帯、1.5GHz帯の3種類。このうち主力と位置づけているのが800MHz帯で、8月現在の人口カバー率は97%。2014年3月末には99%にまで向上させる。「エリアでは完成フェーズに向かっている」(田中社長)としており、3G網とほぼ同じ広さになるとする。このほか、総務省に許可を受けた基地局数がKDDIが6万1000、ソフトバンクとイー・アクセスが合計で3万8000、NTTドコモが3万5000という数値を見せ、他事業者と比べて優位であることをアピールした。
これまで800MHzのLTE網を利用できたのはAndroidのスマートフォンで、人気のiPhone 5は2.1GHz帯のLTE網にしか対応していなかった。9月10日に米アップルが発表すると言われる新型iPhoneが800MHzに対応するか、現状では「分からない」としながらも、「もしiPhoneの新モデルが800MHzのLTEに対応したら、既存のiPhone 5ユーザーには下取りプログラムも考えていかないといけない」(田中社長)と販売戦略をほのめかした。
4月末から5月にかけて連続で発生した通信障害については、8月中旬にはバグの対処を当初予定よりも半月前倒しで完了。アクセス集中で問題が発生したLTE基地局制御装置(MME:Mobility Management Entity)の数を従来の19台から60台に増やした。今後も設備の増強を続けていくという。「間違いがあってもトータルに動作する状態を維持できる“機能安全”を基本方針にサービスを提供する」(田中社長)と目標を示した。