デジタル機器間の映像や音声の伝送に使われる規格「HDMI」のライセンスを管理している米HDMIライセンシングは2013年9月12日、9月4日に発表した新規格「HDMI 2.0」の説明会を開催した。HDMI 2.0の概要を解説、HDMIの採用状況などを明らかにした。
説明したのは米HDMIライセンシングのスティーブ・ベヌーティ社長。HDMI 2.0はHDMI 1.4まで10.2Gbpsだった帯域幅を18Gbpsまで拡大した。HDMI 1.4までは4096×2160ドット(いわゆる4K解像度)を毎秒24フレームでしか伝送できなかったが、2.0では毎秒60フレームで表示できるようになった。音声のチャンネル数は従来の8から一気に32に拡大。サンプリング周波数も従来の最大768kHzから2倍の1536kHzまで対応した。「チャンネル数の増加によって、左右方向のサラウンドだけでなく、上下のサラウンド効果も実現できる」(スティーブ・ベヌーティ社長)。
同じ画面で複数の映像を配信する「デュアル表示」にも対応した。マルチプレーヤーゲームにおいて、2人のユーザーにそれぞれ異なる画面を表示するといった用途を想定しているという。音声も最大4人まで同時に配信できる。例えば、ユーザーごとに異なる言語を配信する用途が考えられる。家電を制御する規格「CEC(consumer electronics control)」の拡張や、横縦比21対9の広角ディスプレイへの対応、映像と音声を異なる機器から出力するときに音声信号と映像信号を適切に同期する「ダイナミック自動リップシンク」なども新たに規格に盛り込んだ。ケーブルやコネクターは従来と同一で、現在販売中のハイスピードケーブル(カテゴリー2ケーブル)がそのまま利用できる。
質疑応答では、HDMIを採用した機器においてバージョン表記を推奨するか否かについて解説した。HDMIにおけるバージョンは、どの機能が規格として定められているかを示している。どの機能を実装するかはメーカーが市場のニーズなど考慮して判断する。このことから、例えばHDMI 2.0で定義された毎秒60フレームの4K表示ができる機器でも、HDMI 2.0で定められたほかの機能は実装していないといったことが起こり得る。「製品に何の機能が搭載されているかを語るときにHDMIのバージョンを使うのは避け、機能の名称そのものを記してほしい」(スティーブ・ベヌーティ社長)との方針を示した。