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 教育とICTに関する学会「2014 PCカンファレンス」(主催:コンピュータ利用教育学会、全国大学生活協同組合連合会)が開幕した。2014年8月8~10日の3日間、事例研究や論文発表など約100種の分科会やシンポジウムが開催される。今回の会場は北海道の札幌学院大学ということもあり、今回の全体テーマは「『地方』教育の未来を創る」である(写真1)。

 初日に行われた基調講演では、コンピュータ利用教育学会(CIEC)の妹尾堅一郎会長理事と、慶應義塾大学環境情報学部の熊坂賢次教授が登壇。経済環境や技術、人々の価値観が大きく変わる中で、教育とICTに関わる研究者や教員の意識も大きく変えるべきであると説いた。

 妹尾会長理事は「“コンピュータ利用教育”を再考する。イノベーション社会における知の変容と多様化」と題した講演の中で、「情報によって様々なモノやコトを融合させることが新たな価値を生み出す」と強調した。一例としてボーカロイドの「初音ミク」を挙げ、アナログとデジタル、リアルとバーチャル、ベンダーとユーザー、モノとサービスが融合した新たなビジネスモデルの可能性について解説した(写真2)。

 その上で、「過去の常識にとらわれてはいけない。ICTの位置づけが変われば教育のあり方も変わる」(妹尾会長理事)と訴えた。「教育とは学習者の創造である。教育は従来の知識伝授型から学習支援型に、そして互いに学び互いに教える“互学互修”型に変わる。ICTがこの流れを加速する」と講演を結んだ。

 続いて登壇した熊坂教授は「地方からの学びのイノベーション」と題した講演で、“ふつう”の人が持っている多様性と可能性を説明した。市場の主役が、画一化した価値観を持ち発言しない“サイレントマジョリティ”から、「多様な価値観を持ちネットを介して様々な情報を発信・交換する“おしゃべりなロングテール”に変わる」(熊坂教授)と指摘(写真3)。女子高生のアイデアを行政に活かす福井県鯖江市役所JK(女子高生)課プロジェクトの取り組みなどを紹介し、“ふつう”の人の知見を生かす重要性を説いた。

 さらに、「こうした動きと呼応するように、教育のあり方も変わる」と熊坂教授は言う。例えば、「先生と生徒の関係は、先生が一方的に教えて評価する支配型から、生徒が互いに学びながら何かを創造する協働型に変わる。協働先は学内に止まらず、地域やコミュニティに広がる」(同)。そのため、「様々な“実践知”を引き出す場として、地方が持っている可能性は大きい」と強調した。