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 教育とICTの学会「2014 PCカンファレンス」(主催:コンピュータ利用教育学会、全国大学生活協同組合連合会)が2014年8月8~10日の3日間、北海道の札幌学院大学にて開かれた。2日目となる8月9日には、ポスター発表の場が設けられた(写真1)。応募者が発表用ポスターを掲示し、その前で参加者と議論を交わす。

 今回は約30チームがポスター発表に臨んだ。どの発表にも数多くの聴講者が集まり、会場はごった返した。その中でも参加者の目を引いていた、いくつかのポスター発表を紹介する。

最年少発表者、高校生データサイエンティストが登場

 今回のポスター発表で最年少、しかも多くの聴講者から賞賛の声を集めていたのが、北海道札幌旭丘高等学校の宇久村三世(うくむら みよ)さんだ。生物部に所属している高校2年生である(写真2)。ポスター発表では、トンボの生物多様性についての分析結果を発表した。札幌旭丘高の生物部が2009年から蓄積してきたトンボに関するデータを、統計解析ソフトを使って独自に分析した。

 実は宇久村さんは、今年3月に開催されたコンテスト「All Analytics Championship powered by SAS~データサイエンス・アドベンチャー杯~」でアイデア賞を受賞した腕前を持つ。今回のポスター発表でも、データ分析に関する難しい質問に対して堂々と回答していた。宇久村さんは今回のポスター発表の高校生部門で、最優秀賞も受賞した(写真3)。

 ポスター発表の場で、宇久村さんはデータ分析を始めたきっかけを教えてくれた。「生物部は私一人。なので学校から部費がほとんど出ない(人数に応じて割り振られるため)。生物部で飼っている40種類の生き物のえさ代もままならない。そんな中、部活動で集めたデータを活かせるコンテストがあった。私自身、データ分析に興味があったのと、先生の後押しもあったのでこの道に進んでみた」と言う。今、一番やりたいことは「後輩部員の勧誘(今のままでは卒業したら部がつぶれてしまうから)」だそうだ。

エプロン型コンピュータの実物を展示

 ユニークな発表としては、エプロン型コンピュータの展示があった。京都ノートルダム女子大学人間文化学部の吉田智子教授と初心者向けプログラミング環境「PEN」の開発に携わっている中村亮太氏などの研究グループによる展示だ(写真4)。

 ここでいうエプロン型コンピュータとは、あるロジックを組み込んだマイコンが縫い付けてあるエプロンである。温度の変化や光の当たり具合によってLEDが光る。「技術家庭科の学習指導要領の中には『プログラミングと計測・制御』がある。プログラミングの楽しさを、女性をはじめたくさんの人に知ってもらいたいと思い、このプロジェクトを思い立った」と吉田教授は説明する。

 利用しているのは、ウェアラブルコンピュータ向けマイコンの「LilyPad Arduino」と導電性の糸、マイコンのプログラミングに使う「PEN」である。LilyPadは通常、C言語でプログラミングする必要がある。PENを使うことで、日本語や簡単な命令文でプログラミングできる。

 ここで紹介した二つは、ポスター発表のごく一部。ほかにも、Excel演習授業で反転学習するための補助教材の展示や、大学生のPCに対する態度の調査結果発表、テキストマイニングによる大学生の学びのニーズ分析など、様々な研究成果が発表された。