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 日本教育工学協会は2014年10月24日と25日の2日間、京都市内で全国大会を開催した(写真1)。今大会のテーマは「子どもが主役になる 次世代の学びとは」である。タブレットを活用した授業や情報リテラシー教育といった実践報告やワークショップなど、2日間で100近いセッションが設けられた。

写真1●日本教育工学協会の模様
写真1●日本教育工学協会の模様
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 基調講演では、日本教育工学協会の永野和男常任理事(聖心女子大学メディア学習支援センター長)が登壇(写真2)。「次世代の学びのために~これまでの40年、これからの40年」と題し、これからの教育のあり方を提言した。特に聴講者の関心を集めたのが、来たるべきロボット社会に備えた教育のあり方である。

写真2●基調講演に登壇した永野和男常任理事
写真2●基調講演に登壇した永野和男常任理事
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 永野常任理事はまず、この40年間におけるICTの進化を例示した。40年前の教育現場には、当然のことながらパソコンはない。教室ではOHP(オーバーヘッドプロジェクター)が活用され始めていた。コンピュータの主役は「ミニコン」だ。価格は4000万から5000万円。メモリーは8キロバイト、ハードディスクは5メガバイト程度である。

 それから40年が過ぎた今、教室や家庭では高性能なタブレットが使われはじめ、多くの児童・生徒がスマートフォンを持ち歩いている。インターネットを介して動画や音声も手軽に共有できるようになった。「40年前に想像もできなかったことが、次々と実現されている。教育を取り巻く環境も大きく変わった」と、永野常任理事は語る。

 ITの進化に伴って、教育の姿も変わった。PC一つとっても、以前は「PCを操作すること」や「PC(アプリケーション含む)を作ること」を目的とした情報処理の専門教育が主流だった。PCが普及してからは、「PCを道具として活用する」ことを前提にした教育に変わってきている。授業の仕方も変わった。知識伝達型の一斉指導だけから、インターネットなどを活用したグループ学習や共同学習が取り入れられるようになった。

ロボットを使う側になるか、ロボットに使われる側になるか

 では、これからの40年はどうだろうか。永野常任理事は「あらゆることがロボット化される」と指摘する。ロボット化を急速に加速させる理由の一つが、画像認識と立体認識技術の進化である。「何も教え込まなくても複数のカメラで撮影した動画を認識するだけで、すぐに人間と同じ作業がすぐできるようになる」(永野常任理事)。

 その結果、「仕事は『ロボットにはできない創造性の高い仕事、つまりロボットを使う側の仕事』か、『ロボットがやり残した仕事をフォローする賃金の安い仕事、ロボットに使われる側の仕事』のどちらかに二極化する。40年先ではなく20年先かもしれない。どちら側に立つか、これからの教育が重要になる」と、永野常任理事は警鐘を鳴らした。
 
 こうした時代に備えるには、「教育内容や方法を変えていかなければならない」と永野常任理事は言う。「言われたことを正しく正確に覚え、行動できるようにする教育ではだめだ。広い意味での情報活用能力やコミュニケーション能力、表現力や判断力などを育成していく必要がある。どう教え込むかではなく、何を体験させるか、何を考え行動させるかが重要になる」(同)と強調した。