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 山口大学教育学部は2014年9月から始まった後期授業の一部で、「反転授業」の要素を盛り込んだ知財教育を行っている。学習効果を高めると言われる手法を後期前半8コマの科目の講義で導入し、その効果を検証する。

 反転授業は、講師が用意した映像教材などをもとに学生が事前に学習し、実際の講義は演習など学生が得た知識の応用に重きを置くスタイルの授業。知識の暗記を目的とした授業ではなく、実際の課題に則した授業を行うことで、知識の定着と応用力向上を可能にする手法として注目を集めている。事前学習のツールとして、ストリーミング映像やプレゼンテーションスライドなどICTが使われることが多い。

反転授業の要素を盛り込んだ授業を一部で開始した山口大学
反転授業の要素を盛り込んだ授業を一部で開始した山口大学
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 山口大が新たな試みとして反転授業の要素を盛り込んだ授業を実施しているのは、1年生の共通科目である知的財産入門。専門職大学院で知財教育を展開してきた山口大では、その内容を転用する形で、2013年度から知財を全学で1年生必修科目としている。しかし「知財は実際のものを扱いながら考えないと分かりにくい」(山口大学の大学研究推進機構知的財産センター副センター長の木村友久教授)のが実情という。そこで、従来の講義の中心だった知識提供の部分を映像素材などによる事前学習に置き換え、実際の講義は確認問題やワークシートを通して学生の理解度を高める授業を、教育学部と経済学部の一部のクラスで試すことにしたという。

試験的な取り組みは教育学部の一部クラスで導入
試験的な取り組みは教育学部の一部クラスで導入
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 授業を受けるクラスの学生は、「Moodle」をベースとした山口大学のeラーニング環境や、講師が自ら解説したHPに、IDやパスワード付きで掲載された5~10分程度の映像数本とスライドで予習。講義では学生は確認問題に取り組み、予習した内容を理解しているかを確認する。また予習内容を踏まえた課題を学生に与え、その解決法を考えさせるとともに、グループでも討議させる。

授業で最初に課される確認問題
授業で最初に課される確認問題
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事前学習のための素材は山口大学のeラーニングシステムなどに登録されている
事前学習のための素材は山口大学のeラーニングシステムなどに登録されている
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 事前学習のコンテンツは、学生はスマートフォンで見ていることが多く、「アクセス分析すると、ほとんどの学生が事前に見ていると考えられる」(木村氏)という。また映像コンテンツは、もともと山口大学が外販目的で制作したものもあるため、それも使うことで制作の負担を抑えている。

事前学習の素材。講師による講義映像とスライドで学生は予習する
事前学習の素材。講師による講義映像とスライドで学生は予習する
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 並行して別のクラスでは従来形式の授業も行っており、終了後に両者を比較して効果を検証し、知財関連の学会で発表する予定だ。「もし本当に有効なら、映像コンテンツを増やして、教える内容に深みを持たせることができそう」(木村氏)という。