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 米Appleの「iPod」を巡る独占禁止法訴訟の審問が米カリフォルニア州北部の連邦地方裁判所で現地時間2014年12月2日に始まった。裁判では同社共同設立者で2011年に死去した故Steve Jobs氏の電子メールとビデオが証拠提出される予定だと、複数の米メディア(Wall Street JournalNew York TimesForbesなど)が報じている。

 この集団訴訟は、2005年1月に提起された。Appleがソフトウエアアップデートにより、他社のコンテンツがiPodに対応できないようにすることで、競合社を遮断し、自社の独占的地位を維持したと、原告は主張。消費者はすでに所有している音楽があっても、iPodで再生するために「iTunes Store」から音楽を購入しなければならず、損害を被ったとしてAppleに3億5000万ドルを支払うよう求めている。

 審問前のインタビューで原告側の弁護士は、「ソフトウエアアップデートが、ライバルを遮断する目的のものだったことを示す証拠を提出する」と述べていた。

 iPodは当初、Apple独自のデジタル著作権管理(DRM)技術「FairPlay」により、iTunes Storeから購入した音楽しか再生できなかった。米RealNetworksは、購入済みの音楽ファイルを、iPodを含む多数の音楽デバイスで再生できるようにするDRMフォーマット変換技術「Harmony」を開発。しかし、原告側の主張によれば、AppleはiTunesソフトウエアのバージョン7.0と7.4アップデートによりHarmonyを遮断した。なお、Appleは2009年にFairPlayを廃止している。

 RealNetworksが2004年にHarmonyを発表した際、Appleは「RealNetworksがハッカーの戦術と倫理を取り入れて、iPodを侵害したことにショックを受けている」との声明を発表している。弁護士が証拠提出するとしている電子メールには、Jobs氏がApple幹部に送った同声明の草案などが含まれる。Jobs氏が亡くなる前に宣誓供述するビデオも提出される。

 Appleは、問題とされるアップデートはセキュリティ強化と新機能の追加を実行するものであり、特に7.0はビデオ再生を可能にする重要な機能向上だと説明。また、2006年~2009年にiPodの値段が下がっていることを指摘し、「価格は低下し、品質は向上した」として、原告が主張する「損害」を否定している。

 約2週間にわたって行われる審問では、AppleのPhil Schillerワールドワイドマーケティング担当上級バイスプレジデントとEddie Cueインターネットソフトウエアおよびサービス部門担当執行バイスプレジデントも証言台に立つ予定。

 地裁のYvonne Gonzalez Rogers判事は陪審員に対し、問題のソフトウエアアップデートが真の機能向上を目的としたものだったかどうかに焦点を当てるよう指示しているという。もし独占禁止法違反が認められた場合、賠償額は3倍に拡大する可能性がある。