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 ダビング10とは、現行のデジタル放送にかけられた録画規制を大幅に緩和した新しい録画ルール。パソコンでは、2008年に登場したモデルを中心にダビング10への対応が進む見込みだ。ダビング10の導入は、これまでのデジタル放送ライフを大きく変える可能性を秘めている。ここではダビング10の魅力を中心に語ってみよう。

複製が9回まで可能に

 現行デジタル放送の最大の欠点は、録画した番組の使い勝手が良くないこと。現在放映されている番組の大半は「コピーワンス」と呼ぶ著作権保護のための規制がかけられている(図2左)。コピーワンスで録画した番組は、複製が一切できず、DVDなどに移す「ムーブ」しか認められていない。ムーブを実行すると元の場所にあった番組は削除され、戻すことはできない。

図2 従来のコピーワンスではメディアへの保存方法としてムーブ(左図)しか認められていなかった。ムーブとは、元の映像を消して別のメディアに移すこと。ダビング10では複製が9回まで許される(右図)。10回目にムーブされる
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 DVDにムーブする際は図3のような「CPRM」と呼ぶ著作権保護に対応したメディアにしか記録できない(下の別掲記事を参照)。再生するのにもCPRMに対応したプレーヤーが必要になる。ユーザーの利便性は大きく損なわれていた。

図3 ダビング10の番組をDVDに保存する場合は、従来のコピーワンスと同様に著作権保護機能を備えたCPRM対応メディアが必須となる。写真はDVDメディアのパッケージ写真を切り抜いたもの
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 そこで、放送業界などの著作権利者側と機器販売メーカー側が総務省を介して協議した末に誕生したのがダビング10だ。ダビング10では、録画番組の複製に関する制約を大幅に緩和している(図2右)。具体的には、同一番組のメディアへの複製を9回まで実行でき、10回目にムーブとなる。DVDへの記録にはコピーワンス同様にCPRMに対応したメディアが必須となるが、番組を保存したメディアの破損や紛失に対する不安感が払拭できる点は大きい。

 ダビング10は発表当初、2008年6月2日に運用を開始するとしていたが、2008年5月中旬時点で著作権団体の合意が得られず、開始時期は未定となっている。開始に向けた調整が続けられている状況である。

世界で1枚のディスクに仕立てる技術「CPRM」

 CPRM(content protection for recordable media)とは著作権管理技術の一つ。保存内容を暗号化し、複製しても復号できない仕組みを備える(図)。これにより、コピーワンス番組の複製が可能になった。DVDの規格策定後に登場した技術なので、CPRMの対応はメディアごとに異なる。

 一方、Blu-ray DiscはAACS(advanced access content system)と呼ぶ著作権保護技術を採用している。暗号化強度を高めており、コピーワンス番組の複製が可能だ。現在店頭に並んでいるBlu-ray Discの大半は、AACSに対応している。

CPRMは保存内容を暗号化して保護する技術。CPRM対応メディアには固有の情報(ID)が隠し領域に記述され、暗号化と復号の際に利用される。内容を他のメディアに複製してもIDが異なるため暗号化された内容を復号できない
CPRMは保存内容を暗号化して保護する技術。CPRM対応メディアには固有の情報(ID)が隠し領域に記述され、暗号化と復号の際に利用される。内容を他のメディアに複製してもIDが異なるため暗号化された内容を復号できない
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