PR

 前回はビジネス文書において、送り手の意図をきちんと受け手に伝えるためには、具体的に「どの情報に」「どんな色を選べばよいのか」を解説した(参考記事:「色を使うセオリーを実践してみよう」)。今回はまずその続きから。企画書や提案書など、ビジネス文書のほとんどは複数のページで構成されている。そのため、カラーリングも最初から複数ページを前提にして、色の使い方をルール化しておく必要がある。具体的には(1)図版のルール化、(2)ドキュメント全体のルール化、(3)文字のカラーリングの3点だ。これが、さまざまな側面からドキュメント全体を通じた統一感を作り出し、受け手の無用な混乱を避け、メッセージをストレートに伝えるのに役立つ。

同じ意味を示す色は統一すべき

 図版のルール化とは、表やグラフ、チャートなどで使う色について、同じ意味や種類を表す場合は色を統一することである。たとえ図版のカラーリングが良くても、複数の図版が何のルールもなくカラーリングされていたら台無しだ。ドキュメント全体として見ると、受け手に意味が通らないばかりか、煩雑で分かりにくくなる可能性もある。例えば、あるページの図版では、東日本のデータが赤、西日本が青で色付けされていたのに対し、それより後のページにある別の図版では東日本を青、西日本を赤で色付けしていたり…。果たして「そんなドキュメントはありえない」と笑い飛ばせるだろうか。あなたの周りにも、同じ意味や種類の図版が同じ色に統一されていないビジネス文書がきっとあるはずだ。

図版の中で同じ意味や種類を表すものは色もそろえる
図版の中で同じ意味や種類を表すものは色もそろえる
[画像のクリックで拡大表示]

 ドキュメント全体のルール化とは、表紙、目次、本編、参考資料などのカラーリングをあらかじめルール化して、ドキュメント全体を統一すること。これは、受け手に信頼感やイメージを伝えるのにとても効果的だ。例えば、ドキュメントの各ページにコーポレートカラーを使って会社らしさを演出し、企業イメージを表現する。こうすることで、受け手にも正式なドキュメントとして認知してもらえる。カラーリングとともに位置を合わせるのも有効な手段。目次や本文でヘッダーやフッターの位置と色をそろえると、ぐっとドキュメントの信頼感が増すはずだ。後日、別のドキュメントを見せる、新たな機会があったときにも、同じカラーリングルールに基づき、統一されたイメージをドキュメントで表現できれば、さらに自社のブランドイメージを強く印象付けることが出来るだろう。

 特に文字のカラーリングについては、ルールをきちんと守り、統一感を重視すべきと強調しておきたい。前回、色使いのセオリーとしては、なるべく色数を抑えるべきと説明した。しかし、特に説明文の文字色は、まずは黒を基本と考えたい。