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 キーボードから入力した読みをかな漢字交じりの文字列に変換するソフトを「IME(アイエムイー=Input Method Editor)」と呼ぶ。この名称自体は日本語入力に限定したものではないが、国内では「日本語入力ソフト」の意味で使われることが多い。Windowsが普及する前のMS-DOSの時代は「FEP(フェップ=Front End Processor)」と呼ばれ、VJE、ATOK、OAK、EGBRIDGE、NECAI、WX、松茸など、多くのソフトがしのぎを削っていた。古いパソコンユーザーの中には、そんな時代を懐かしむ人もいるだろう。

 しかし今では、マイクロソフトの日本語入力ソフト「IME」が事実上の“標準”となっている。前述の通り、IMEはもともと日本語入力ソフト全般を表す言葉だが、マイクロソフトが製品名として使ったこともあり、「IME」と言えば同社の日本語入力ソフトを指すのが一般的になっているほどだ。そのほかの日本語入力ソフトで現在もなお頑張っているのは、ジャストシステムの「ATOK(エイトック)」ぐらい。WindowsやOfficeに“タダ”で付いてくるIMEの変換精度がそこそこ良く、これに満足してしまうユーザーが多いことなどが理由だろう。

 ところが2009年12月、そんな沈滞した雰囲気を吹き飛ばすかのような旋風が日本語入力の世界に吹き込んできた。Web検索で絶大な力を誇るグーグルが、独自開発の「Google日本語入力」のベータ版を突如、公開したのだ。そしてほぼ同時期に、中国の検索最大手バイドゥ(百度)の日本法人もまた、「Baidu Type」という日本語入力ソフトのベータ版を公開した(図1)。

【グーグルも参入し、日本語入力の世界がにわかに活気づく】
図1 この何年もの間、日本語入力ソフトといえばマイクロソフトの「IME」かジャストシステムの「ATOK」の独壇場だった。そこに一石を投じたのがWeb検索を得意とするグーグルやバイドゥの参入だ。Webに存在する膨大なデータを基にした新しいアプローチで、日本語入力の可能性を広げつつある
図1 この何年もの間、日本語入力ソフトといえばマイクロソフトの「IME」かジャストシステムの「ATOK」の独壇場だった。そこに一石を投じたのがWeb検索を得意とするグーグルやバイドゥの参入だ。Webに存在する膨大なデータを基にした新しいアプローチで、日本語入力の可能性を広げつつある
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グーグルが新規参入

 Google日本語入力が注目を集めたのには、いくつもの理由がある。日本語入力とは一見無縁に思えるグーグルが開発した驚きもあるが、同社お得意のWeb技術に基づいて開発された点など、既存の日本語入力ソフトにはない数々の特徴を備えていたからだ。また無償で公開されている点も見逃せない。

 一方、マイクロソフトのIME(以下、IME)やジャストシステムのATOKも、ここ数年で大きな進化を遂げている。ATOKは、この2月に最新版「ATOK 2010」が登場。IMEもまた、「IME 2010」が夏までにリリースされる予定だ。

 そこで本特集では、Google日本語入力、IME、ATOK、Baidu Typeの4つの日本語入力ソフトを取り上げ、それぞれの特徴やメリットを解説する。また後半では、IMEとATOKの2つのソフトに絞って、より速く、より正確に日本語を入力するノウハウを伝授したい。