デジタルカメラの新製品が相次いで登場している。低価格なコンパクト機から、性能や画質を追求した一眼レフまで、種類は実に豊富(図1)。製品選びは一段と難しくなってきている。本当に欲しい機種を選び出すには、きちんとトレンドを押さえることが肝要だ。
最新デジタルカメラのトレンドが、レンズのズーム倍率の向上と本体の小型軽量化だ。これまで売れ筋だった低価格コンパクトモデルのズーム倍率は、4~5倍程度が標準となっていた。それを上回るズーム倍率の製品はレンズユニットが大きくなり、本体サイズや重さのアップにつながっていたためだ。
しかし、技術改良によりレンズの薄型化や高屈折率化が急速に進み、小型でもズーム倍率の高いレンズユニットが登場。従来の4~5倍ズームの製品とほとんど変わらない本体サイズながら、10倍前後のズームレンズを搭載した「スリム10倍ズーム機」が増えた(図2)。手のひらサイズの小さなデジカメでも、遠くの被写体を大きく引き寄せた迫力のある写真が撮影できる。ズーム倍率が高まると、背景のぼけの描写が大きくなり、被写体を引き立たせて撮れるメリットもある(図3)。

価格は従来の低価格コンパクトと同等の水準を維持。このため、人気や売れ筋がこちらに移行している。買い替えや買い増しの用途でも、既に使っているデジタルカメラと比べてズーム性能の差が実感でき、「新しいデジタルカメラを買った」という満足感が得られる。
高倍率化は10倍にとどまらない。本体サイズはやや大きくなるが、20倍前後のズームレンズを搭載した「スリム20倍ズーム機」や、1000mmを超える圧倒的な超望遠撮影ができる「高倍率ズーム機」の品数が増えている。こうしたカメラでは、スマートフォンのカメラ機能では不可能な高画質の望遠撮影ができる。
さらに、ミラーレス一眼やデジタル一眼レフも小型化の傾向が目立つ。ボディーやレンズがさらに小さく軽くなり、扱いやすさの工夫や改良も進んだことで、より広い層に薦められる存在となった。