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 なぜいきなりフラッシュメモリーなのか。Windows Vistaの「Windows ReadyBoost」と「Windows ReadyDrive」で、フラッシュがPCの表舞台に浮上してきた。フラッシュをキャッシュや先読みバッファーとして使うことで、システムを高速化しようというアプローチだ。なぜ、いま、フラッシュなのだろう。

驚異的な勢いで大容量化するフラッシュメモリー

 理由は簡単だ。フラッシュメモリーが猛烈に大容量化して、容量当たりの単価が暴落しているからだ。

 フラッシュは2002年ごろまでは、1チップ当たりの容量がDRAMより少なかった。ところが、今ではフラッシュメモリーの容量は16Gビットと、同世代のDRAMの4倍に達している。つまり、同じ大きさのチップに、フラッシュの方が4倍以上のメモリーを載せられるようになっているのだ。

 フラッシュの大容量化は、1年で2倍のペースで、ムーアの法則(現在は2年で2倍)を大きく超えている。それに対して、DRAMの大容量化は、ムーアの法則より鈍化してしまっている。DRAMはすっかりフラッシュに追いつかれた格好で、差がどんどん開きつつある。半導体のカンファレンスでも、2002年ごろから大容量メモリーの主役は、DRAMではなくフラッシュになってしまった。

 フラッシュメモリーにも2つの種類がある。高速なNOR型と大容量のNAND型だ。DRAMより大容量なのはNAND型で、1つひとつのメモリーセルが小さくなるのと同時に、1つのメモリーセルに格納できるデータを多値化することで容量を大きくしている。チップが大容量化すれば製造コストが下がり、容量当たりの単価が安くなる。だったら、そのお得なフラッシュを、OSがうまく利用できるようにしようという話になったというわけだ。

 でも、フラッシュを、PCのバッファーとして使うのは、実は、メモリー業界の構想の中では最初のステップにすぎない。テクノロジーの楽屋裏では、もっと大きな構想が持ち上がっている。それは、フラッシュのような不揮発性メモリー(電源供給がなくてもデータを保持できるメモリー)で、PCのメインメモリーであるDRAMやストレージであるHDDを置き換えてしまおうという話だ。