DRAMは、電子機器産業にとって『米』のようなもの。ひと昔前は、そんな表現がよく使われた。なくてはならないデバイスで、大量に作られていて、安定して安価に供給されるからだ。
同じ規格の製品をみんなが作るDRAMの特殊な構造
DRAMが米として成り立つのは、規格が標準化されているからだ。PCやサーバーで使われる「メインストリームDRAM」は、標準規格の製品を多数のメーカーが製造する。ユーザーは、多数のメーカーのDRAMから、好きな製品を選べる。メーカーの間での競争は激しく、DRAMは価格が下がりやすい。
メインストリームで使われるメモリーは、半導体の標準化団体の1つであるJEDECが規格を決めてきた。JEDECには、DRAMメーカーだけでなくさまざまな企業が参加している。多くの企業で議論して、標準DRAMを作る。大所帯の常として、参加企業の間での意見のぶつかり合いがあり、時間もかかる。
だから、JEDECのメインストリームDRAMの技術の進化は、ゆっくりになりがちだ。技術の飛躍は避けて、作りやすく使いやすいDRAMにしようとするからだ。現在、JEDECは1.6G~3.2Gbpsの転送レートのDDR4を2010年ごろの導入を目指して規格化しているが、DDR3からの継承性を第一に置いている。JEDECのメインストリームメモリーでは、性能が上がると分かっている革新的な技術があっても、なかなか取り入れにくい。
そして、恐らくIntelは、JEDECのペースにイライラしたのだろう。だから、Intelは一時、JEDECから離れたのだ。