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 2007年、HDDは誕生から50年を迎えた。最初の磁気記録装置はドラム型で、リード/ライトヘッドは固定されていた。現在のHDDと同様のディスク型になったのは1956年。しかし直径は24インチで、50枚のディスクを使用し、容量は5MBだった。1960年後半には、リムーバブル式のディスクが登場した。「ディスクパック」を交換することで、容量を追加できた。

 2007年10月、フランスのアルベール・フェール博士とドイツのペーター・グリュンベルク博士が、ノーベル物理学賞を受賞した。受賞対象となった研究は、巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto Resistance)に関するものだ。この研究成果は今から20年ほど前、HDDの容量を飛躍的に高められるMRヘッドを開発する礎となった。

 加えて昨年は、HDDが製品として世の中に誕生してから50年となる節目の年だった。HDDの開発が盛んに行われた米国カリフォルニア州のサンノゼでは、HDD誕生から半世紀を記念するイベントが行われ、記念の博物館も設営された。

 製品登場から50年を経て、今やHDDはPCだけでなく、DVDレコーダーやカーナビにも搭載され、すっかり身近になった。今回から2回にわたって、HDDの基本構造や性能、容量の変化、合併や買収を繰り返してきたHDDメーカーの系図などを、50年に及ぶ歴史とともに振り返ってみてみよう。

出発点は巨大なドラム型、装置の大きさが容量を示す

 まずは初期の磁気記録装置を見てみよう。図1の写真は、1950年代に開発されたものだ。回転する磁性体の表面近くにリード/ライトヘッドを配置し、磁性体によって形成された磁石の磁極が、装置の電源を切っても変わらないことを利用して、データを記録する。原理はまさに現在のHDDとそっくりだ。ただ外観は全く違っている。

●ドラム型、固定複数ヘッドの磁気記録装置
図1 1950年代に製造された最も古い磁気記録装置。ディスクではなく、磁気ドラムを採用。ドラムの周囲に複数のリード/ライトヘッドが固定されている。このためヘッド数がトラック数と同じになる。このドラム一式で、16KBの記録ができた。
図1 1950年代に製造された最も古い磁気記録装置。ディスクではなく、磁気ドラムを採用。ドラムの周囲に複数のリード/ライトヘッドが固定されている。このためヘッド数がトラック数と同じになる。このドラム一式で、16KBの記録ができた。

 写真の中央から右半分にかけて見える円筒状のものが磁性体を表面に塗った磁気ドラムだ。その磁気ドラムを包むように、たくさんのケーブルがつながった硬そうなカバーで覆われている。写真はそのカバーを開けたところだ。ドラムの左側の黒い部分にはモーターが取り付けられている。

 たくさんのケーブルの先はそれぞれリードヘッドあるいはライトヘッドだ。つまり、おのおののトラックに専用のリード/ライトヘッドが装備されていて、現在のHDDのようにヘッドアームが移動することはない。そのため、固定されたリード/ライトヘッドの数がそのままトラック数に一致する。磁気ドラムの表面で、リード/ライトヘッドに対面していない領域が円周方向にできてしまうことがわかると思う。ちょうどヘッドとヘッドの間の部分だ。記録に使われないのでもったいないが、その分ヘッドの位置決めを制御する必要がなく、装置の構成はとてもシンプルだ。