洗練されたデザインの外付けHDDケースなどで知られる「ICY DOCK」ブランドを掲げる台湾Cremax Tech。同社は今年後半に向けて、セキュリティ機能を強化したHDDケースや、低価格化を図った新製品を投入、ラインアップを強化する。
ICY DOCKは、「氷のようにデバイスを冷やせるソリューション」」を目指して名付けたというオリジナルブランド。当初はサーバーやワークステーション向けのストレージ製品を中心に展開していたが、最近では、デザインを重視したRAIDケースや、着脱が簡単なリムーバブルHDDケースなども開発、販売している。
このところ、ストレージ製品やHDDケースなどのPCパーツも価格競争が厳しくなり、競合製品との差異を打ち出すことが難しくなっている。そこで、新たに「"+"(プラス) Function、"-"(マイナス) Price」という新戦略を掲げ、「シンプルで使い勝手のよい製品をそろえる」と、製品開発担当のベン・リー氏は説明。新機軸の製品による販売強化を目指すという。
「ノートパソコンとデスクトップパソコンの橋渡し」も、Cremax Techの新コンセプトのひとつ。ノートパソコンでも、より大容量のHDDに換装したり、高性能化するためSSDに交換したりと、いわゆるアフターマーケットは拡大傾向にあると見ているからだ。
例えば、ノートパソコンのバックアップ用に2.5インチHDDを使っているユーザーを狙い、2.5インチから3.5インチへ変換するHDDケース「MB882SP-1S-1」を開発。2.5インチHDDを3.5インチHDD用の周辺機器やデスクトップパソコンで気軽に使いたいというニーズの獲得を目指している。
この製品は、ケース外装にプラスティック素材を使うことでコストを抑え、低価格で販売できるようにした。また、HDDをねじ留めしなくても手軽に使えるよう、ケースの蓋を閉めるとHDDを前後に挟んで固定する仕組みを採用した。インターフェースはSATAを使い、コネクターの位置を3.5インチHDDに合わせてあるので、リムーバブルストレージやドッキングステーションでも、そのまま使うことができる。
「EZ-DOCK」と名付けた2.5インチ/3.5インチHDDドッキングステーションも開発。この製品は、SATAのHDDをコネクターも兼ねた台座に挿し込むだけで使えるという手軽さが特徴。USB 2.0またはeSATAでパソコンと接続できる。
3.5インチHDDを支える緑の台座部は取り外し可能で、2.5インチHDDをドッキングステーションに挿したまま持ち歩けるケースも付属する。リー氏は、「ノートパソコンのバックアップ用途を考えれば、容量、単価のどちらでみても3.5インチHDDの方が便利だが、これまでの3.5インチHDDケースは持ち運びには大きすぎる」と考え、シンプルで携帯できるEZ-DOCKを開発したという。
ICY DOCKブランドの製品は、これまでアルミを多用したツールフリー・トレーフリーのRAIDケースなどが中心で、「高価」なイメージが強かった。しかし、新しいマーケティング戦略によって今後は、2.5インチや3.5インチHDDを5台搭載できるドッキングステーション、ツールフリーで2.5インチHDDを装着できるポータブルHDDケースなど、比較的安価ながらデザインにも優れた製品を大幅に強化する予定だ。