台湾Raidon Technologyは、高機能なRAID製品で知られる老舗ベンダーだ。サーバーやワークステーション向け製品の「Raidon」ブランド、Macユーザーをターゲットにした「Stardom」と、市場ごとにブランドを使い分けるマルチブランド戦略を採ってきた。その一環として昨年、パーソナルユーザーをターゲットにしたストレージサブシステム「Staray」ブランドを立ち上げている。
今年は、消費電力が低く、スペースもとらないということで、それぞれのブランドで2.5インチHDDを採用した製品を強化している。例えばStarayでは、指紋認証によるデータ暗号化機能を搭載した2.5インチHDDケースや、2.5インチHDD対応のRAIDサブシステムを発売する。
指紋認証によるデータ暗号化機能を搭載した「S225-1S-B2」は、HDDのパーティションを分割し、そのうち1つのパーティションを通常は見られないプライベートエリアにすることで、デバイスを認証する特定ユーザーだけがデータを閲覧できるようにするというもの。この領域はハードウエアで暗号化されるため、「HDDだけを抜き出して別のHDDケースやマザーボードに搭載してもデータは見られない」と、マーケティング担当のチェルシー・チェン氏は説明する。
インターフェースはUSB 2.0で、本体には指紋認証用のソフトウエアが付属。このソフトウエアの制約からWindowsのみの対応となり、MacOSやLinuxでは利用できない。そこで、すべてのプラットフォームで利用可能なソリューションとして、10キーを装備した「S325-1S-WAC」も発売する。この製品は、インターフェースにUSB 2.0とFireWire400(IEEE1394)を採用している。
さらに、2.5インチHDDのRAIDサブシステムとして、2ドライブ構成でRAID1(ミラーリング)を実現する「mini RAID R2-2S-WAC」と、4ドライブ構成でJBOD(Just a Bunch Of Disks)に対応する「mini Tank J5-5S-SB2」も開発した。
「R2-2S-WAC」のインターフェースはUSB 2.0とFireWire400。RAID1で2つのドライブに同じデータを保存するバックアップソリューションとして最適だ。一方のHDDが故障した場合、新たなHDDを追加すれば自動的にドライブデータの複製を再構築してくれる。
「J5-5S-SB2」はポートマルチプライヤー機能を搭載したソフトウエアRAIDソリューション。1本のUSBまたはeSATAケーブルをパソコンと接続するだけで、4台のドライブを認識させるられる。WindowsやMacOSなどの機能を使って4台のHDDを1台の仮想HDDとしてまとめられる(JBOD)だけでなく、特定のドライブを選んでをRAID0/1/5構成にもできる。J5-5S-SB2にはポータブルのUSB HDDケースも付属するため、RAID構成ではないドライブを持ち運び、脱着式ドライブとして使うこともできる。
チェン氏は「Starayブランド製品には本格的なRAID機能は実装していないが、高機能ストレージの低価格製品として、ノートパソコンユーザーにもRAIDなどの便利さを経験してもらいたい」としている。