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アマゾンが火付け役

 電子書籍への注目度が、このところ急速に高まっている。

 その最大の立役者は、アマゾンの「キンドル」。これは電子書籍を読むことに特化した専用ビューワーで、初登場は2007年。今年になって操作性やデザインに改良を加えた「キンドル2」が発売され、筆者の周囲でもユーザーが急激に増えた。すでに50万台のキンドルが売れたという調査もある。

 キンドルの魅力は、「本を読む」ことに特化した機能を備えている点だ。まず、テキストの表示が、目にやさしく、しかも鮮明で読みやすい。これは、通常こうした端末で用いられる液晶ではなく、イーインク社の「電子ペーパー」技術を採用したためだ。

 電子書籍の購入も手軽にできる。キンドルは、単体で書籍の検索、購入が可能(図1)。高速の携帯電話網を使って、分厚い小説も1分ほどで手元に送られてくる。

“読む”ための機能を充実させて「キンドル」の人気が爆発
【アマゾンを通じて書籍の検索、購入、入手が手軽にできる】
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 書籍の価格も安い。ニューヨークタイムズで紹介されるようなベストセラーの新刊書となると、価格は通常25ドルはする。ところが、キンドル向けのデジタル版は、ほとんどが9ドル99セントで購入できる。

 キンドルでは、書籍だけでなく新聞や雑誌も購読できる(図2)。また、PDFやWordなどのファイルも、キンドル上で読める。アマゾンのサーバー経由で自分のキンドル宛に、ファイルを電子メールで送ればよい。

図2 目に優しく見やすい表示なので、文字が読みやすい。書籍だけでなく、キンドルでは新聞や雑誌も、専用に整えられたフォーマットで閲覧できる
図2 目に優しく見やすい表示なので、文字が読みやすい。書籍だけでなく、キンドルでは新聞や雑誌も、専用に整えられたフォーマットで閲覧できる
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 こうした電子書籍端末が登場し始めたのは、かれこれ10年ほど前。登場初期は、画面が読みにくいなど端末側に問題があったり、出版社が電子書籍に乗り気でなかったためにコンテンツが不足、多くが不発に終わった。これに対してキンドル2は、市場がようやく熟してきた機運をうまくとらえて人気爆発。電子書籍端末の定番となりつつある。

 デジタル書籍市場には、他の事業者も続々と参入している。最大の競合相手はGoogleだ。

 Googleは、現在すでにあるアーカイブ「ブックサーチ」とは別に、デジタル書籍の販売計画を明らかにしたばかり。キンドルが、アマゾン独自のプラットフォームで閉じているのに対して、Googleが狙うのはオープンな市場。電子書籍を“出版”するための環境を出版社に提供する方針で、パソコンや数々のモバイル機器への拡大も狙う。

 他にも、ソニーの「eBook Reader」、「iPhone」用の電子書籍アプリケーションも本格化しつつある。これからしばらくは“熱い”市場となりそうだ。