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 「宇宙エレベーター」という言葉をご存知だろうか。これは宇宙空間にある静止衛星から地上まで長いケーブルを延ばし、そのケーブルを伝って昇降機が移動、人間や物資を運ぶという宇宙開発技術だ。

 構想としては比較的古く、旧ソ連時代から基本的な考え方は存在していた。ただ、地上と静止衛星を結ぶケーブルの長さは10万kmにもおよび、自身の質量で引きちぎれないだけの強度を備えた素材はなく、そのため、長らく構想だけの存在であった。その宇宙エレベーターだが、1990年代初め、NEC基礎研究所(当時)の飯島澄男氏によってカーボンナノチューブ(CNT)が発見され、理論強度は宇宙エレベーター用ケーブルの要件を満たすと考えられるようになってから、にわかに実現性を帯びてきた。

 日本でも2008年に「宇宙エレベーター協会」(JSEA)が発足し、大学の工学研究者や宇宙開発関係者を始め、IT、運輸、メディア、法律などさまざまな立場の会員が参加している。ケーブルの素材、昇降機、宇宙開発ビジネスの拡大などの各分野を研究し、「とにかく一日でも早く宇宙エレベーターを実現したい(もちろん自分も乗って宇宙へ行きたい!)」という情熱に支えられ活動を続けている。

 宇宙エレベーター実現のためには、ケーブル以外にも、さまざまな要素技術を確立する必要がある。そのひとつが、空中に吊るされたケーブル上を自力で移動する昇降機の開発だ。宇宙エレベーターはエレベーターとはいうものの、一般的なエレベーター(ケーブルにケージを吊り下げて固定し、重りを下げてケーブルを巻き取ることでケージが昇降するしくみ)とは構造が異なる可能性が高い。蜘蛛の糸のように吊るされた宇宙エレベーターのケーブルは揺れ動き安定しない。そこをどのように速く、安全に移動するシステムを作るべきか? 課題解決に向けた取り組みが始まっている。

 JSEAの大野修一会長は、「宇宙エレベーターを一日でも早く実現するためには、関心を持つ人を一人でも増やすこと」が重要だとし、宇宙エレベーター構想と子どもたちをレゴブロックでつなぐという競技会「LASER」をスタートさせた。LASERとはLEGO Bricks Activity and Space Elevator Raceの略。レゴブロックを使って、宇宙エレベーターの昇降機「クライマー」のモデルを作成し、上昇スピードなどを競うという競技会だ。

 競技で使用するレゴブロックは「サイエンス&テクノロジー モーター付基本セット」というもの。ブロックのほかモーター、リモコンが付属するキットで、小学生でも扱えて物理の基礎を学べるツールとなっている。これを使って子供たちがクライマーを作成し、垂直に伸ばしたケーブルを、摩擦の力で昇降させる。子どもたちの柔軟な発想で作ったクライマーを、競技会という形式で評価しようという試みだ。

 将来、宇宙開発の場で活躍する人材育成の第一歩となるかもしれない、競技会「LASER」の試みを紹介したい。

モーター、リモコンが入ったレゴ サイエンス&テクノロジーキットに昇降用お専用ケーブルを加えた「レゴ 宇宙エレベーター実験キット」。このキットをもとに、空中に吊るしたケーブルを昇降する仕組みを実際に作成する
モーター、リモコンが入ったレゴ サイエンス&テクノロジーキットに昇降用お専用ケーブルを加えた「レゴ 宇宙エレベーター実験キット」。このキットをもとに、空中に吊るしたケーブルを昇降する仕組みを実際に作成する
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ケーブルに取り付けたレゴクライマー。幅25mmのケーブルを摩擦の力でよじ登っていく
ケーブルに取り付けたレゴクライマー。幅25mmのケーブルを摩擦の力でよじ登っていく
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