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 2010年5月28日に発売された、アップルのタブレット機「iPad」。同製品の日本上陸とともに、新聞社や出版社、コンテンツ配信事業者などがiPad向けの電子書籍を競うように提供し始めた。現状では各社とも実証実験の意味合いが強いが、電子書籍という未開拓の広大な市場を前に、各社とも乗り遅れまいと先陣を切って乗り込み、アイデアを凝らしたコンテンツでユーザーの動向をうかがっている。

 電子書籍というと、紙の書籍をそのままPDFなどの電子フォーマットにしたような印象があるが、今回各社が提供したものは、いずれも随所に工夫を盛り込んだものとなっている。

ただの書籍にあらず

 小説などの文芸書の分野では、電子書籍リーダー「i文庫HD」(シェアウエア、nagisaworks氏作、900円)が、アップルのアプリ配信サイト「App Store」で圧倒的な人気を誇る。著作権切れの文学作品を収蔵するWebサイト「青空文庫」の数千におよぶ作品を、無料で簡単にダウンロードして読める。読むための操作も、書庫から読みたい本を選択して開き、指でページをめくったり、iPadを縦長/横長に持ち替えたり、2本指で押し広げて拡大したりと単純明快なものだ。さらにi文庫HDでは、青空文庫で使われている日本語組版フォーマットに沿って書かれたタグ付きテキストや、PDF、画像などのファイルも表示できる。商業出版では、京極夏彦氏の新作をハードカバーとほぼ同時期に電子書籍版として発売した『死ねばいいのに』(講談社、900円)が好調。付録として作品のイメージ映像を付けたほか、感想文をすぐに講談社へ送れるフォームなどを用意した。ハードカバーが1785円なのに対し、iPad版は当初キャンペーンで700円と手ごろな価格設定としていたことも奏功したようだ。

●電子化のメリットを生かした作品が続々
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 新聞関連では「photoJ.」(毎日新聞社、350円)が目を引く。往年のグラフ誌のようなコンテンツで、iPadを持つ向きによって、新聞風の縦書きレイアウトと雑誌風の横書きレイアウトを切り替えられる仕組みだ。「nikkansports.com for iPad」(日刊スポーツ新聞社、無料)は、スポーツ新聞らしく画面いっぱいに写真だけを表示。ランダムに揺れ動く写真をクリックすると記事本文が表示される仕掛けを施している。

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