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 現実の風景や物に、CGや動画、文字情報などデジタル情報を付加する「拡張現実」(AR)を、ビジネスで利用する事例が増えている。研究分野では 1990年代から盛り上がりを見せる技術だが、スマートフォンや携帯電話の高機能化、インフラの高速・大容量化などITの進化によって、一般の消費者でも気軽にARを利用できるようになってきた。

 市場調査会社のシードプランニングが7月に発表したARに関する調査では、ARを活用したサービスの2009年度の市場規模は約200億円だった。

 「AR単体で利益を生み出すのは難しい。しかし、ARを利用した販売促進などで活用していきたい」と語るのは、内田洋行でAR技術の開発を担当しているマーケティング本部次世代ソリューション開発センターの三宅智之氏。同社の提案のうちの一つに、オフィス家具をARで表示する利用方法がある(図1左)。 ARで最も広く使われている手法が、目印(マーカー)を認識することでデジタル情報を表示するというもの。図1左の場合、イスの下に置いてあるのが、マーカーだ。中央にある机は実物なので、机に対する高さなどを確かめられる。同社の営業担当者が顧客向けにこの技術を使って提案することもあるという。

 ソニーマーケティングは、Webサイトで「ARレイアウトシミュレーター[β版]」を5月27日から提供している(図1右)。ユーザーが撮影した映像に、同社のテレビやスピーカー、パソコンなど製品のCG画像を合成して表示できる。大型の製品では、部屋に置いたときにどのように見えるかが重要な選択ポイントだと考え、このコンテンツを開発したという。

●家具や家電を“置いてみる”
図1 内田洋行が提案するオフィス家具のAR表示(左)や、ソニーマーケティングのコンテンツ(右)を使えば、実際に部屋に置いた際のサイズ感や周囲との相性などを確認できる
図1 内田洋行が提案するオフィス家具のAR表示(左)や、ソニーマーケティングのコンテンツ(右)を使えば、実際に部屋に置いた際のサイズ感や周囲との相性などを確認できる
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 デジタルサイネージ(電子看板)やダイレクトメールなどの付加価値として利用される場合も多い。パナソニックの男性用シェーバーのデジタルサイネージは、大日本印刷が開発したARを採用している(図2)。人の顔をマーカーとして認識し、顔とCG動画を重ねて見せる。広告は、どれだけ注目させるか、ということが最も重要なポイントとなる。自分の顔が映っていると、足を止めやすく、ARと広告はなじみが良い。

●電子看板で広告に付加価値
図2 パナソニックが一部量販店で展開している男性用シェーバーのデジタルサイネージ(電子看板)。人の顔を認識すると、顔と口周りのひげを剃っているようなCGを重ねて表示する。目の位置などから人の顔をマーカーとして認識する
図2 パナソニックが一部量販店で展開している男性用シェーバーのデジタルサイネージ(電子看板)。人の顔を認識すると、顔と口周りのひげを剃っているようなCGを重ねて表示する。目の位置などから人の顔をマーカーとして認識する