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 PC環境が大きく進化しようとしている。AMDは、メインストリーム市場向けにCPUとグラフィックスコア(以下、GPU)を1つのシリコンに統合したAPU(Accelerated Processing Unit)の「AMD A」シリーズを投入したことを機に、グラフィックスチップをCPUの補助プロセッサーとして一般的なアプリケーションにも利用できるようにし、PCの性能を大幅に向上させられる環境を整備していく。

 この、いわゆる「ヘテロジニアスコンピューティング(Heterogeneous Computing、異種混合コンピューティング)」は、AMDのみならず、MicrosoftやARM、NVIDIA、主要なアプリケーションメーカーも、PC市場の重要なトレンドとして認識している。そのヘテロジニアスコンピューティング環境に大きな動きがあった。さる6月に米国で開催された開発者向け会議「AMD Fusion Developer Summit 11」でAMDが発表した「Fusion System Architecture」だ。

 GPUは、CPUよりもシンプルなコアを数多く搭載しているため、グラフィックス処理の他にも、1つの作業を数多くのプロセッサーコアで演算処理する「並列コンピューティング」に向いているとされる。ただし、これまでGPUを使った並列コンピューティングは、流体などの動きを予測するシミュレーションや、医療画像の解析など、スーパーコンピューターが得意としてきたジャンルで先行活用されていた。一般ユーザーは、せいぜいビデオのエンコード処理で利用する程度だった。

 しかし、数多くの計算の繰り返しに優れるというGPUの特性は、座標演算やパターン検索などを利用した新しいアプリケーションを身近にすると、AMD関係者は指摘する。例えば、「iPhone」やAndroidを搭載した携帯端末が実現している音声認識による検索は、Googleが保有するシステムが音声パターンのマッチングを並列処理することで実現しているのだが、GPUの演算能力を使えば、インターネットにつながっていない状態のPCでも音声認識が利用できるようになる。

 顔認識技術を使って、写真に写っている人物を特定し、他の画像を見つけ出すのにも役立てられる。ジェスチャー認識によるユーザーインターフェースにGPUの処理性能を活用することで、より精度が高く、複雑な操作をできるようにする試みもある。AMDは、これらの技術を一般アプリケーションで使えるようにすることで、パソコンの利用形態そのものを大きくステップアップさせたい考えだ。

顔認識エンジンを利用したFacebook用のアプリケーション「Viewdle Uploader」(Viewdle)。友達や自分の顔を認識し、自分が撮影した写真やビデオデータに、自動的に友達のタグ付けをした上でアップロードする。同社は、GPUを顔認識に使うことで大幅な性能向上が可能としていた。
顔認識エンジンを利用したFacebook用のアプリケーション「Viewdle Uploader」(Viewdle)。友達や自分の顔を認識し、自分が撮影した写真やビデオデータに、自動的に友達のタグ付けをした上でアップロードする。同社は、GPUを顔認識に使うことで大幅な性能向上が可能としていた。
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一般的なPCカメラを使ってジェスチャー認識を実現するExtreme RealityのXTRテクノロジーデモ。GPUを使えば、よりきめ細かくコントロールできるという。
一般的なPCカメラを使ってジェスチャー認識を実現するExtreme RealityのXTRテクノロジーデモ。GPUを使えば、よりきめ細かくコントロールできるという。
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マルチタッチインターフェースを生かしたゲームや音楽ソフト、写真レタッチができるUnlimited Realitiesの「Fingertapps Suites」。写真のピアノソフトでもGPUのリソースを使えば、打鍵の強さなど、より自然な操作感を実現できると説明していた。
マルチタッチインターフェースを生かしたゲームや音楽ソフト、写真レタッチができるUnlimited Realitiesの「Fingertapps Suites」。写真のピアノソフトでもGPUのリソースを使えば、打鍵の強さなど、より自然な操作感を実現できると説明していた。
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