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 これまでパソコン業界をリードしてきた「ウィンテル」こと米マイクロソフトと米インテル。定期的に新しいOSやCPUを発表し、パソコンメーカーはそのサイクルに合わせて製品を投入してきた。そんなパソコン業界の二大巨頭を揺るがす新勢力が台頭しつつある。英アームが設計したARM系CPUが、モバイル分野を足掛かりに存在感を高めているのだ。

 ここ数年、急激な勢いで世界中にスマートフォンが浸透している。そのスマートフォンの心臓部として、ARM系CPUは圧倒的なシェアを持つ。アーム日本法人によると、「携帯電話とスマートフォンの分野でARMアーキテクチャーは約95%のシェアを占めている」という。米アップルは明らかにしていないが、iPhoneやiPadが搭載している「A5」プロセッサーもARM系CPUがベースになっているといわれる。

 タブレット端末でも、ARM系CPUと米グーグルのOS「Android」を組み合わせた製品が複数登場してきた。最近ではパソコンではなく、軽くて起動が早いタブレット端末に乗り換えるという人が増えつつある。

 こうしたARM系CPUの台頭に、これまではインテルと蜜月を続けてきたマイクロソフトもついに動き出した。2012年後半のリリースが予想される次期OS「Windows 8」(開発コード名)で、インテルなどのx86系CPUに加えて、ARM系CPUに対応する。マイクロソフトもスマートフォン向けOSなどでは従来からARMに対応してきたが、Windows本体で対応するのは大きな転換といえる。

 一方のインテルも、モバイル分野で攻勢に転じるために、マイクロソフト以外と手を組み始めた。2011年9月にはモバイル向けCPU「Atom」がAndroidに対応すると発表。2012年1月に開催された家電展示会「2012 International CES」では、中国レノボや米モトローラ・モビリティがAtomを搭載したAndroidスマートフォンを開発すると説明した。

 現在最も大きく伸長している産業といえるモバイル分野をめぐり、業界全体が大きく揺れ動いている(図1)。

●ARM系CPUの台頭が業界全体を揺り動かす
図1 スマートフォン向けCPUの標準といえる存在がARMアーキテクチャーの複合チップ(SoC)。マイクロソフトは次期OSのWindows 8(開発コード名)でARM対応を表明しており、今後はより多彩なARM製品が登場する見通し。一方、インテルはモバイル分野での対抗策を強化している
図1 スマートフォン向けCPUの標準といえる存在がARMアーキテクチャーの複合チップ(SoC)。マイクロソフトは次期OSのWindows 8(開発コード名)でARM対応を表明しており、今後はより多彩なARM製品が登場する見通し。一方、インテルはモバイル分野での対抗策を強化している
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