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 日本語の電子書籍が5万冊。簡単な手順で購入でき、専用端末のほかスマートフォンやタブレットでも読める──。電子書店の本命とも言われる米アマゾンの「Kindleストア」が10月25日、日本に上陸した。同社は米国で2007年にサービスを開始して以来、電子書籍市場をけん引。英語版書籍を中心に140万冊にも及ぶコンテンツの品ぞろえ、低価格の専用端末、作品レコメンド(推薦)機能などを完備した配信サイトを原動力に高い人気を獲得してきた(図1)。

図1 電子書籍端末Kindleを日本でも発売する。写真は米アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(米国発表時)
図1 電子書籍端末Kindleを日本でも発売する。写真は米アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(米国発表時)

 アマゾン ジャパンは、6月末に電子書籍端末のKindleを近日発売するとWeb上で告知。コンテンツ確保のための出版社との交渉・契約は一時難航したものの、業界内ではKindleストアの開設は秒読みとみられていた。蓋を開けてみると、発表は絶妙のタイミングだった。9月末以降、米グーグルの「Nexus 7」、米アップルの「iPad mini」など電子書籍の閲覧に向く小型タブレットの発表が相次ぐ中、Kindleストア・Kindle端末を発表したのだ。

コンテンツはさらに増える

 アマゾンは、(1)豊富な書籍コンテンツ、(2)幅広い対応端末やアプリ、(3)書籍が探しやすく決済も簡単な配信サイト、という米国を席巻した電子書籍の販売モデルをそのまま日本に持ち込んできた。

 用意された電子書籍約5万冊の内訳は、文芸・実用書などが約2万5000冊、コミックが約1万5000冊、青空文庫の無料書籍が約1万冊。ソニーの「Reader Store」(約6万9000冊)など先行する電子書店に比べると総書籍数はやや少ないものの、スタートとしては十分な量を確保した(表1)。講談社、小学館、角川グループパブリッシングなどほとんどの大手出版社から電子書籍の供給を受けており、そのラインアップを見ると、映画化された小説「天地明察」(冲方丁著)、コミックの「テルマエ・ロマエ」(ヤマザキマリ著)といった人気作も並んでいる。

 講談社では「来春までに、他の電子書店に供給しているのと同じ規模までKindleストア向けの電子書籍を増やす」(講談社デジタルビジネス局デジタルコンテンツ営業部の吉村浩部長)という。このように、どの電子書店とも“等距離外交”という方針の出版社は多く、今後Kindleストアの電子書籍の数が他のサービスに追いつくことは、時間の問題と言えそうだ。

 電子書籍の価格付けは作品、著者、出版社によって幅があるが、紙の書籍よりは1~2割ほど安いものが多い。中には、人気コミックが1巻目のみ99円といった格安価格で販売されているケースもある。定価販売が原則となる紙の書籍と違い、電子書籍では価格訴求を含めた大胆なプロモーションも実施されていきそうだ。

●オープンと同時に既存の電子書店に迫る品ぞろえ
表1 Kindleストアは開設当初から国内で先行するソニーや楽天のサービスに匹敵する日本語書籍をそろえた
表1 Kindleストアは開設当初から国内で先行するソニーや楽天のサービスに匹敵する日本語書籍をそろえた
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