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 複数のパンを載せたトレイを、レジのカウンターに置く。するとほぼ一瞬で、横に置かれたディスプレイにパンの種類と価格が表示される。店員が、パンの種類を1つずつレジに打ち込む手間は一切不要だ。

 このレジを導入したのは、全国で焼きたてパンの販売店を展開するドンク。東京都にある「nonowa西国分寺店」のレジに、画像認識機能を盛り込んだ。上部のカメラでトレイ上のパンを読み取り、その種類を認識する。あんパンとカレーパンのように同じ丸形をしているものや、トッピングの具材だけ異なるようなものでも、種類を正しく判別できる。その認識率は、98%を超えるという。

 焼きたてパンは、一般に包装せずに販売されることが多い。冷めるまで包めないことに加え、包装をするとスーパーなどに並ぶパンと見た目が変わらなくなり、「“焼きたて感”が失われる」(画像認識技術を開発した、ブレイン 東京営業所の神戸美徳氏)という理由もある。

 このため焼きたてパンにはバーコードが付けられず、店員がレジに商品を手入力する必要がある。その分会計に時間がかかるし、パンの種類が多いと店員の教育も大変だ。そこで白羽の矢が立ったのが、画像認識技術だった。

●パンの種類を一瞬で認識
ドンクの「nonowa西国分寺店」(左)が導入した画像認識レジ(右)。上部からカメラでトレイを撮影する
ドンクの「nonowa西国分寺店」(左)が導入した画像認識レジ(右)。上部からカメラでトレイを撮影する
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レジ横に置かれたディスプレイに、認識結果が一瞬で表示される。同じ形状だがトッピングの具材が異なる「プティ ガーリック」と「プティ 明太」の違いも正しく認識できる
レジ横に置かれたディスプレイに、認識結果が一瞬で表示される。同じ形状だがトッピングの具材が異なる「プティ ガーリック」と「プティ 明太」の違いも正しく認識できる
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 開発は一筋縄ではいかなかった。特に苦労したのは、パンならではの2つの特徴だ。(1)異なる種類でも形状が似ている商品が多い、(2)同じ商品でも、作る人や焼き加減によって個体差がある、である。商品の違いを厳密に区別しようとすると、同じ商品で焼き方が異なるものを別の種類と誤認識しやすい。

 そこで今回、形や色などパンの特徴となる要素(特徴量)を100種類以上設定し、そのうち重視すべき要素を動的に導き出す技術を開発。焼き色など無視すべき要素を適切に排除しつつ、トッピングのようにカギとなる特徴量に重きを置くことで、高精度な認識を可能にした。