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 2012年10月26日、Windows 8を搭載したパソコンやタブレットが一斉に発売された。日本マイクロソフトによると、その数は国内だけで250を超える。ところが、Windows 8のエディションの一つ「Windows RT」を搭載した製品は、国内でわずか2機種(図1)。海外を見ても、数えるほどしかない。パソコン向けのWindowsで初めて「ARM系CPU」に対応し、大いに注目されたWindows RTだが、盛り上がりはいまひとつだ。

●国内ではNECとエイスースのみ、海外でも数機種
図1 Windows RTを採用したARM系CPU搭載機は、2012年11月22日時点で、国内で2機種のみ。海外でも、台湾エイスーステック・コンピューター、韓国サムスン電子、米デル、米マイクロソフト、中国レノボがそれぞれ1機種ずつ展開しているにとどまる。当初予定していた東芝は、部品調達の問題などを理由に計画を白紙に戻している
図1 Windows RTを採用したARM系CPU搭載機は、2012年11月22日時点で、国内で2機種のみ。海外でも、台湾エイスーステック・コンピューター、韓国サムスン電子、米デル、米マイクロソフト、中国レノボがそれぞれ1機種ずつ展開しているにとどまる。当初予定していた東芝は、部品調達の問題などを理由に計画を白紙に戻している
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 「次期Windowsは、x86系だけでなく、ARMベースのSoC(System on a Chip)をサポートする」──。米マイクロソフトが「International CES」でこう発表したのは2011年1月。ARM系CPUとは、英アームが設計したCPUコアと各種回路を組み合わせて、半導体メーカーが製造する統合チップ(SoC)のこと。消費電力が低いのが特徴で、家電やゲーム機、カーナビ、スマートフォンなどに幅広く使われている(図2)。

●ARM系CPUは「低消費電力」が売り
図2 ARM系CPU は、英アームが設計した仕様に基づいて半導体メーカー各社が製造している。グラフィックス機能などを含めて1 つのチップにまとめた「SoC(System on a Chip)」の形態を持ち、消費電力や設置スペースを節約できるのが特徴。従来はスマートフォンやAndroid搭載タブレットなどで使われてきた
図2 ARM系CPU は、英アームが設計した仕様に基づいて半導体メーカー各社が製造している。グラフィックス機能などを含めて1 つのチップにまとめた「SoC(System on a Chip)」の形態を持ち、消費電力や設置スペースを節約できるのが特徴。従来はスマートフォンやAndroid搭載タブレットなどで使われてきた
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 ARM系CPUに対して、米インテルなどが開発・製造するCPUを「x86系」と呼ぶ。マイクロソフトはこれまで、x86系CPUを前提にWindowsを開発。両社の蜜月関係は「ウィンテル」という言葉で象徴されてきた。WindowsがARM系CPUに対応するという発表は、「ウィンテル時代の終わり」などと報じられ、世間をにぎわした。

 マイクロソフトがARM系CPUをサポートしたのは、タブレットなどのモバイル機器に対応するため。2011年1月の発表では、「より小さく、薄く、かつ消費電力の少ないデバイスが可能となり、バッテリーの寿命は延び、常時稼働や常時接続といった機能の実現性も高まる」と説明していた。ここで言う「常時稼働や常時接続」とは、「接続維持スタンバイ(コネクテッドスタンバイ)」と呼ぶ、ネットワークに接続したままスリープ状態にする機能のこと(図3)。電力消費を極力抑えながら、メールの受信などは可能な状態を保ち、電源ボタンを押すとすぐに復帰できる。米アップルの「iPad」や米グーグルのAndroidを搭載した機器と同様の使い勝手を実現するわけだ。

●スマートフォンのように接続状態のままスリープ
図3 Windows RT搭載機は、電源ボタンを押すと「接続維持スタンバイ(コネクテッドスタンバイ)」というモードになる。スマートフォンの“待ち受け状態”に近く、メールの受信などは可能な状態のまま消費電力を抑えて待機する。電源ボタンを押すと即座に起動し、その時はメールなどを受信済みなのですぐ確認できる
図3 Windows RT搭載機は、電源ボタンを押すと「接続維持スタンバイ(コネクテッドスタンバイ)」というモードになる。スマートフォンの“待ち受け状態”に近く、メールの受信などは可能な状態のまま消費電力を抑えて待機する。電源ボタンを押すと即座に起動し、その時はメールなどを受信済みなのですぐ確認できる
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