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 パソコン販売の下落が止まらない。電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2013年5月のパソコンの国内出荷台数は前年同月比10.2%減の71万台。出荷台数の前年割れは、7カ月連続だ(図2)。4月には同30.8%減(64万9000台)と近年にない落ち込みも見せている。

 原因は、パソコンからタブレットへの需要の急速なシフト。調査会社BCNの店頭販売調査によると、2012年秋以来、タブレットの販売台数が急激に伸び、相対的にパソコンの販売台数が縮小。現在では、タブレットがノートパソコンの半分程度の規模まで成長している(図3)。

 また、調査会社IDC Japanによれば、1~3月の国内タブレット出荷台数は前年同期比187.2%増の201万台に達し、急速に伸びているという。

●パソコンの出荷台数は7カ月連続で前年比減(JEITA調査)
図2 電子情報技術産業協会(JEITA)が毎月発表しているパソコン出荷調査を基に、前年同月比(台数ベース)の推移をグラフ化。2012年11月以来、7カ月連続で前年を割り込んでいる。調査対象は11社
図2 電子情報技術産業協会(JEITA)が毎月発表しているパソコン出荷調査を基に、前年同月比(台数ベース)の推移をグラフ化。2012年11月以来、7カ月連続で前年を割り込んでいる。調査対象は11社
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●パソコン・タブレットの販売台数比率(BCN調査)
図3 BCN調査によるパソコン・タブレットの販売台数比率。2010年6月(上図にはない範囲)の合計数を1.0として表した推移をグラフ化。iPad miniなどが発売された2012年秋以降、タブレットが急激に伸びている
図3 BCN調査によるパソコン・タブレットの販売台数比率。2010年6月(上図にはない範囲)の合計数を1.0として表した推移をグラフ化。iPad miniなどが発売された2012年秋以降、タブレットが急激に伸びている
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平均3万円台の安さが魅力

 タブレット人気の理由はいくつかある。最大の理由は、低価格。「タブレットの平均単価は3万円強と、10万円以上する国産メーカーのノートとは比較にならない安さだ」(BCNデータマーケティング部の森英二チーフアナリスト)。

 製品の幅も広がった。2012年秋にiPad mini(アップル)やNexus 7(台湾エイスーステック・コンピューター/グーグル)など持ち運びしやすい“7型タブレット”が発売されたことで、それまでほぼiPad一色だったタブレット市場に有力な選択肢ができた。BCNの調査データでは、両機種の発売を機にタブレット販売台数は2倍以上に拡大した。

 用途面でも消費者の支持が集まっている。「来店客に用途を尋ねると、8割方、Web閲覧やメールなどのライトユース。必ずしもハードウエアキーボードを必要としない。スイッチ一つで瞬時に起動する軽快さにも消費者は魅力を感じている」(ヨドバシカメラマルチメディアAkibaパソコン専門チームの深井直紘氏)。ノートパソコンを選ぼうと思って売り場を訪れた客がタブレットに流れるケースも少なくないという。

 ただし、タブレットであれば全て売れているというわけではない。不調なのが、Windows 8を搭載したモデル。画面を取り外したり、回転・変形させたりすればタブレットとしても使える“2イン1”と呼ばれるノートパソコンだ。Windows 8のタッチ機能を生かす切り札として各社から発売されているが、「多くの製品が10万円以上と高く、AndroidタブレットやiPadシリーズに比べて重いことから、選択肢に上りにくいのが実情」(深井氏)という。2イン1タイプは、BCNの調査ではタブレット全体の5%程度を占めるに過ぎない。Windowsパソコンの凋落傾向に歯止めがかかるめどは立っていないと見るべきだろう。

●拡大するタブレット売り場
タブレット売り場を拡大する販売店が増えている(写真はヨドバシカメラマルチメディアAkiba)
タブレット売り場を拡大する販売店が増えている(写真はヨドバシカメラマルチメディアAkiba)