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 韓国の政府系シンクタンクが調べたところ、携帯電話の音声通話は2010年の1077億分から2013年の1105億分へ微増にとどまり、SMSは2010年の1216億件から2013年は533億件に激減した。一方、月々のデータ通信量は、2009年12月は409TBだったが、2014年9月は11万164TBに爆発的に増えている。今後は、データ通信費の料金プランをどう設計するかで、キャリアの収益が変わってくる。

 キャリア3社と通信政策を担当する省庁の未来創造科学部は、「音声通話無料により家計通信費の負担が軽くなった」、「データ中心料金が放送、コンテンツ、IoT、ヘルスケア、教育などの産業を変える」など大々的に宣伝している。

 しかし、これだけ様々なサービスを投入したにも関わらず、ユーザーの反応はよくない。

 キャリア3社は既に家族間通話無料、加入者間通話無料サービスを提供していて、料金に応じて100分前後の無料通話を提供していた。つまり、ユーザーにとって、音声通話無料はそれほど特別なサービスではない。

 SKテレコムの場合、月々の料金が安くなったという理由で既存の家族割を縮小、約定割引(24カ月使い続けることを前提に端末代金と月々の料金を割引する制度)も適用しないので、ユーザーによっては月々の料金が高くなってしまった人もいるからだ。SKテレコムのPRサイトを見ると、批判の書き込みが殺到している。他のキャリア(KTとLGU+)も、音声通話無料の代わりに約定割引を廃止した。

 スマートフォンレビューサイトには、「ユーザーが音声通話をたくさん利用しても少ししか利用しなくても、キャリアのネットワーク維持にかかる費用は同じ。音声通話無料にしても、キャリアは負担がない。結局、音声通話無料といういらない特典を付けて、月々の料金を値上げしようという魂胆」といった内容で、キャリア3社を批判する書き込みが増えている。

趙 章恩(チョウ チャンウン)
ITジャーナリスト。高校卒業まで東京で育ち、韓国ソウルの大学卒業後、ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどに連載。著書「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー刊)「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)
「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送ってます。韓国情報通信部と傘下機関・IT企業の対日戦略リサーチ&コンサルティング、日韓IT視察を企画運営するJ&JNETWORKの代表であり、韓国で唯一、日本とのITビジネス交流を図る非営利団体JIBC(Japan Internet Buisiness Community)の会長を務めています。日韓両国で生活した経験を活かし、韓日のIT事情を比較解説する講師として、韓国の色んな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです。
韓国はいつも活気溢れ、競争が激しい社会なので変化も早く、2~3ヵ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をするとなんだかきつそうな国~と思われがちですが、世話好きな人が多く、電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多く、マンションに住みながらもおいしいものが手に入ればおすそ分けするのが当たり前の人情の街です。みなさん、遊びに来てください!」