PR

英国で生まれた超小型コンピューターボード。数千円という低価格も相まって、主に電子工作の用途で広がりを見せている。最近では米マイクロソフトもRaspberry Pi向けに最適化したOSを提供している。

 名刺サイズの「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」は、英国のラズベリーパイ財団(Raspberry Pi Foundation)が開発した超小型コンピューターボード。2012年に発売した初代の「Raspberry Pi 1モデルA」を皮切りに、これまで産業用途1モデルを含む合計6モデルを発表。2015年2月時点で累計500万台を売り上げた。

 構成はパソコンのマザーボードと同様。SoC(システム・オン・チップ)を採用してCPU、グラフィックス、メモリー、USBなどの主要機能を集約することにより小型化に成功した。SDメモリーカードからOSを起動でき、カードはストレージ(記憶領域)としても利用される。

 学校でのコンピューター教育用に端を発しているだけに、比較的簡単に利用できるのが特徴だ。ラズベリーパイ自体の価格は最新モデルの「Raspberry Pi 2モデルB」でも30ポンド(約5500円、2015年9月中旬時点)と低価格で入手可能。国内では代理店、ネット通販などから購入できる。実際に動作させるにはSDメモリーカード、キーボード、マウス、電源アダプター、ケーブル類などの周辺機器が必要となる。複数のOSに対応し、推奨OSの「Raspbian」は公式サイトから無料でダウンロードできる。

 ディスプレイに出力すればデスクトップ環境が表示され、パソコンとしての利用も可能。また、教育用のプログラミング言語である「Scratch」や、汎用プログラミング言語の「Python」を使い、電子工作にも利用できる。そのほか、監視用システム、メディアプレーヤー、Webサーバーといった特定用途の機器のベースとして利用するケースもある。

 8月には米マイクロソフトがラズベリーパイ対応のOS「Windows 10 IoT Core」を無償公開した。開発ツール「Visual Studio 2015」を使い、アプリ開発などができる。今後、IoT(モノのインターネット)向けデバイスとしての飛躍も見込まれる。

2015年2月に発売された最新モデルの「Raspberry Pi 2モデルB」。SoCを変更し、動作周波数がこれまでの700MHzから900MHzに、CPUが1コアから4コアになった
2015年2月に発売された最新モデルの「Raspberry Pi 2モデルB」。SoCを変更し、動作周波数がこれまでの700MHzから900MHzに、CPUが1コアから4コアになった
[画像のクリックで拡大表示]