今週、ある大手設計事務所の役員の方とお話ししていたところ、「いま、採用面接の時期なので」と、とてもお忙しそうな様子でした。感触では、女性のほうが優秀、とのこと。そこで見ている一つは、やはり「コミュニケーション能力」なのだそうです。
最新号(2007年3月12日号)の特集「コンペ・プロポーザル 勝利の決め手」では、審査員の側からも、“選ぶときの視点”を開陳していただいています。そこでは山本理顕さんが、「発注者と対話できるコミュニケーション能力」を挙げています(その他のポイントは本誌をご覧ください!)。登場する勝者は今回、男性ばかりでしたが、これからきっと、女性の活躍がより顕在化してくるのだろうと思います。
日経アーキテクチュアが主催しているアイデアコンペでは、その山本さんにご協力いただいたときは提案物の審査のみでしたが、昨年は公開審査を行い、面と向かってのプレゼン力も試す格好になりました。ただそのとき、とつとつと話すことが相手を引き込む効果になることもある、と審査員の光井純さんが話していたのが印象的で、「よどみなく」伝えるのが“対話テク”として最善かというと、そうでない場合もあるようです。もちろん、テクではなく、人間性を見るのが審査の本筋なのかと思いますが。
特集では、住宅の仕事の仲介に大きな役割を果たすようになった「ハウスコンペ」も取り上げ、9連勝したというツワモノ設計者などにも取材しています。ぜひ、本誌を手にとっていただければと思います。
それからもう一つ。ただいま設計進行中!という活きのよいプロジェクトを、もっと載せる機会がないかと考えていたのですが、この特集では、設計コンペやプロボーザルの勝者(や敗者)から学ぶ、という形でそれが叶いました。
日経アーキテクチュアの特色の一つは、既に使われ始めている建築を訪ね、そこにかかわる人たち(運営者、利用者、居住者…)に取材することによって、(これから行われようとしている)設計にフィードバックできる有用な情報を探し出していくアプローチにあります。ですので、「設計の仕事」そのものをリアルタイムで追うことがどうしても少なくなりがちだったのですが、今後、“利用の現場”だけでなく、“設計の現場”に踏み込むことにも、より積極的に取り組みたいと考えています。
そうやって現場の声を聞き、読者の方々にとってお役に立つ情報を一つでも増やしていきたい。「こんな記事が読みたい」「こんな情報が欲しい」といったご要望も大切なヒントとなりますので、歓迎しています(本誌の目次のページに編集部のメールアドレスを記載しています)。