最新号(2007年3月26日号)の住宅特集「オンリーワンの家づくり」では、取材陣による記者座談会を行っています。
増田(本誌記者) 私が取材した住宅でも、建て主がもてあそばれたという感じは全くなかった。むしろ陰でリードしているのは建て主。100%建築家の力を引き出してやろう、みたいな意気込みを感じた。
萩原(ライター) ただ、そういう建て主は設計内容だけでなく、プロセスを重視している。“消極的お任せ派”と違って“積極的お任せ派”は、「対等な議論」を求めています。
長井(ライター) 建て主の知識が増えているからこそ、設計者のコミュニケーション能力が以前にも増して重要になっているということでしょう。
──と、一部を抜粋するとこんな具合。3月12日号の特集に続き、「コミュニケーション能力」がキーワードとして挙がってきました。
特集では、建て主が“既製品にない何か”を感じ取り、満足を得ていることが確認できた住宅9件を取材しました。少なくとも完成から半年以上たち、夏・冬を経験していることを条件にセレクトし、その上で、“私らしさ”をどこに発見したのかをそれぞれの建て主に聞いています。
上記座談会では、取材を通じてわかったプランニングの傾向についても、ごく簡単にですが記しています。詳しくは、本誌でご覧ください。
シリーズ企画「巨匠の残像」には、毛綱毅曠氏が登場します。1980年代の後半、釧路フィッシャーマンズワーフを設計されているころに取材のご協力をいただき、自邸「反住器」を見学させていただいたほか、当時の編集長による釧路市長インタビューにも同行したことを思い出します。
今も母親が元気に住むまさに「オンリーワンの家」に始まり、出身地・釧路などに残した数々の公共建築も「オンリーワン」でした。ただ、その奇想が大型建築に向かったことが本当に幸せだったのか、と述懐する近親者のコメントもあります。写真を掲載している建築は、十数年前から二十年前ぐらいのものなのですが、今の「建築家」の置かれている状況を考えるなら、思った以上に大きな時間の隔たりを感じさせもします。
次号では、誌面の刷新を行い、新企画なども登場させます。主な内容は次回の当欄でご説明させていただきます。