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 予想以上に設計者の仕事の負担を増やすことになりそうな制度改革──。最新号(2007年4月9日号)では、6月施行の改正建築基準法の内容をいち早く、詳しく解説しています。構造設計に直接かかわる人以外にも、もちろん必読の情報です。社会・経済に対する影響を懸念する声も出ているこの課題を、日経アーキテクチュアは今後も追い続けます。

 さて。

 最新号を機に、誌面の刷新と強化を行っているところです。本誌内でもお伝えしていますように、報道姿勢には大きな変更はありません。読者の皆様方に満足していただくために、まだまだ工夫の余地があると感じていますが、雑誌の目指してきた方向性については引き続き守っていこうと考えています。

 今回できるだけ強調したいと考えたのは、「人間的な要素」(ヒューマンファクター)の表現です。建築をつくる(創る・造る・作る)のも人間、使うのも人間、ということを改めて肝に命じ、現場に取材し、誌面に反映させます。端的には巻頭企画を、話題の人物を取り上げる「ピープルファイル」欄としました。「建築家カタログ」にするつもりはありませんので、様々な立場から建築にかかわる方々にご登場いただくことを考えています。

 また、最新の建築をリポートする「クローズアップ」欄を徹底解説型に改め、ビジュアル要素、そして設計者や発注者の肉声を、これまで以上にたっぷりお伝えします。そのほかの建築や住宅は、より見やすい誌面構成の「レビュー」欄に移行させます。

 これは一例です。今後、特集企画、連載企画などでも、そこにかかわる人の「顔が見える」誌面を指向していくつもりです。

 「もの」を軽視しているわけではありません。次の段階では例えば、建築を構成する基本となる「建材・設備」について、従来よりも踏み込んだ情報をお届けすることを目指し、準備中です。また、技術情報・技能情報の強化を重点テーマとし、特集や連載の企画に反映させていきます。

 巻末には、8ページを使ったコラム群を新設します。月の前半号(INSIDE)では、建築を深める(掘り下げる・究める)内向きの視点、月の後半号(OUTSIDE)では、建築を広げる外向きの視点をそれぞれ意識し、性格を入れ替えてお届けするものです。新聞で言えば「文化欄」に相当します。文化は“実利”をもたらさない、だから冷遇する、といった事態には抵抗したいので、この部分にも皆様に関心を持っていただけるよう、知恵を絞っていきたいと思います。

 特に巻末のラストのページ。辛口の批評で鳴る日建設計名誉顧問の林昌二氏の胸を借り、若手建築家(設計者)との間で対話を行う「往復書簡型」コラムが実現しました。こうした格好で知識や見識の「共有」「継承」を試み、ときには議論の場を設けることも雑誌の役割とします。

 建築が、竣工やリニューアルオープンを謳って終わり、では済まされないように、雑誌においても運営面やサービス面の絶えざる工夫が、非常に大切になります。「刷新と強化を行っているところです」としたのは、そうした理由からです。定期欄のみでなく毎号の特集や特報なども、仕事にそして社会により有用となり、なおかつ理解しやすいものとなるよう、改善を続けます。例えば最新号の「早わかり●改正建築基準法」では、読みづらくなりがちな法制度の解説ながら、チャートなどを駆使し、速習の手助けとなるものができたと考えています。

 現状に安住せず、皆様にとって身近で手離せない雑誌をつくることを編集部一丸となって目指します。引き続きのご愛読をよろしくお願い申し上げます。