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日経アーキテクチュア読者の76%が「今後、品質トラブルが増える」と予想-。これは本誌8月22日号の特集「止まらない品質トラブル」でのアンケート結果ですが、不幸にも予想が当たりつつあります。深刻さではその最たる事件、構造計算書の偽造が発覚しました。本誌11月28日号での掲載は間に合いませんでしたが、同号をはじめ、最近の本誌は建築にかかわるトラブルを相次いで報じています。

大阪府住宅供給公社の団地で実施されたクーラー用スリーブ穴増設工事で、柱や梁の主鉄筋140カ所を誤って切断(11月28日号)。
ずさんな工事による欠陥マンションをめぐって、建設会社と名義貸しをした設計監理者に札幌地裁が賠償命令(11月28日号)。
札幌市の設計事務所が、北海道木古内町の病院の基本設計を1000円で落札(11月28日号)。
「構造上、危険」と判断された住宅の増築工事を請け負った一級建築士に大阪地裁が賠償命令(11月14日号)。
秋田市の設計事務所が、大仙市の小学校の基本設計を100円で落札(11月14日号)。

現場の技能が伴わないケースもありますが、根源的な問題として、建築プロフェッショナルのモラル低下が余りにもひどいのではないでしょうか。意図的な行為にしても、不可抗力によるミスにしても、最大の犠牲者は消費者です。こう建前と実態が異なっては、消費者保護の観点から供給体制を抜本的に見直さなければならないでしょう。

主な見直し点は、(1)建築確認検査制度のあり方(2)指定確認検査機関制度のあり方(3)構造計算などの業務再委託のあり方(構造計算のチェック、大臣認定プログラムを使った計算の審査など)(4)瑕疵保証責任のあり方(5)瑕疵建物に住む居住者保護への対応(6)建築士法の見直し-などです。

今回の構造計算書偽造事件に限らず、誰が構造計算をやっているか、消費者には見えません。名義だけ貸して、工事監理に行かない設計事務所も後を絶ちません。そうした事務所は消費者のことなど眼中にないのでしょう。公共建築ではダンピングが横行しています。どうして小学校の基本設計が100円でできるのか。どこかで不明瞭な金が動いているかもしれない。それが世間の見方というものです。

市場規模が縮小するなかで、建築業界になかなか自浄作用が働かないため、不適格業者まで延命されてしまっています。二度とこんな事件が起きぬよう、消費者が安心して買い物をできるよう、建築業界を挙げて制度や仕組みを再構築しなければなりません。日経アーキテクチュアは次の12月12日号で、この問題を取り上げる予定です。