編集長が語る日経コンストラクションの見どころ
目次
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パイの縮小より重大な公共事業の中身の変化
土木界は、政権交代以前も激動の時代でした。公共事業の削減と脱談合を契機とする受注競争の激化や技術提案型入札の拡大によって、まさに従来の常識が通用しない世界となっていました。今後、さらなる激動の時代を迎えることが確実な情勢です。
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元気印の現場所長たち
「現場所長のなり手がいない」。以前、建設会社の方がこう漏らすのを聞いたことがあります。マネジメントするポストに就いて一身に重責を担うのを嫌がり、そこそこの役割を果たせばいいと考えるワーカーがいるようですが、当然ながら建設業界もそんな世の風潮と無縁ではないわけです。
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勝ち抜ける土俵はどこか
縮まる土俵でたくさんの競争相手との勝負を続ければ、勝ち抜くのが難しいばかりか、疲弊して体力が低下するのは自明です。できれば競争相手の少ない土俵、しかもこれから広がることが見込めて自社の競争力を生かせる土俵で勝負したいと考えるのは当然です。
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補修コストへの認識を改め始めた発注機関
「発注者はずいぶん変わってきている。補修関連の工事が新設の工事のようにはいかないことが分かり始め、仕事が増えてきたのと併せて仕組みが充実してきた」。長らくコンクリートの補修に携わってきた樋野勝巳氏(道路保全技術センターの道路構造物保全研究会保全工事部会積算・契約委員会委員長)の実感です。
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建設バッシングの真相
建設業界に対する世間のイメージは、脱談合や競争激化に象徴される激動期の前のまま。脱談合の動きは世間にはあまり伝わっておらず、公共事業の価格は高いという旧来のイメージを引きずっているーー。
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こんな図面では造れない、さあどうする?
こんな図面では造れないーー。施工することを考えずに図面を描いているとか、詳細図の不備でどう造ればいいかが分からないといった問題は、以前からありました。ここにきて建設会社や橋梁メーカーなどが建設コンサルタント会社への水面下の設計協力をやめたこともあって、問題は深刻化しています。
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市民は土木遺産がお好き?
思いのほか、多くの市民が土木遺産に興味を抱き、好意を持っているーー。日経コンストラクション7月10日号の特集「人を呼ぶ土木遺産」をつくり込む過程で感じた率直な印象です。たくさんの市民が土木遺産や産業遺産を見に集まっていることに着目して特集を企画したのですが、市民の関心の高さは想像以上でした。
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“標準工法”になる情報化施工
国土交通省は2008年7月に定めた情報化施工推進戦略で、12年度までに情報化施工を標準的な工法として定着させる方針を打ち出しました。対象となるのは、道路と河川の土工事、舗装工事。大規模工事ではダム工事も対象に加え、中小工事に先行して10年度までの定着を目標にしています。
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総合評価に強い会社、弱い会社
落札総額ランキングで鹿島が2年連続1位。大林組は前年度の19位から巻き返して2位に。前年度に2位と健闘したハザマは9位に下がったーー。主要公共発注機関が2008年度に実施した予定価格3億円以上の土木工事の入札1235件を、日経コンストラクションが独自に分析した結果です。
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甘くない「競争緩和策」
公共工事では一般競争入札の拡大傾向が続いています。日経コンストラクションの調査では、都道府県や政令市の3分の1が2009年度に一般競争入札を拡大する見通しであると回答しました。08年度に一般競争入札の件数が指名競争入札を上回った都道府県は、07年度に比べて倍増しています。その一方で、競争緩和や地元保…
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土木は市民から感謝されてなんぼの商売
やはり、自分の手掛ける土木事業が社会のためになっていると実感しながら仕事をしたい。そう考えるのはごく普通のことです。ところが、そんな普通の願いがかないにくくなってきています。日経コンストラクション5月8日号の特集では、実際に市民から感謝され技術者がやりがいを感じた事例を通して、土木の意義や社会とのか…
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簡単な補修と簡単でないアルジェリアと
大きな技術トレンドの一つは手軽さの追求です。とかく維持・補修の仕事は手間がかかるし、もうからないと敬遠されがちですが、逆に言えばそれらの問題を克服できれば大きな市場を手にすることができるかもしれません。手間いらずの安価な技術へのニーズは高く、建設会社やメーカーなどが技術開発を競っています。
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技術者がやりがいや誇りを取り戻すには
やっぱり「社会が悪い」「時代が悪い」などと嘆いていても何も変わらない。自分が変わらなければ、自ら動いて打開しなければ、変わるものも変わらないーー。日経コンストラクション4月10日号の特集を仕上げたときに頭に浮かんだ率直な感想です。
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環境ではメシが食えない?
21世紀は環境の世紀だといわれ、環境が大事なことはわかっている。でも、環境ではメシが食えない。環境は手間や経費がかかるばかりで、ビジネスにはつながらないーー。そんな思いを抱いている方はまだまだ少なくないのではないでしょうか。
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総合評価で勝つための五つの法則
並べてみると至極当然のことばかりで、改めて列挙すべきことなのかと疑問を感じる方もいるでしょう。しかし、当たり前のことができている入札参加者と、そうでない者とがいるのです。あるいは、提案する側はできているつもりでも、提案を評価する側にきちんと伝わっていないケースもあるようです。
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ちょっとした配慮不足が工程を狂わせる
施工技術の要でありながら、かつては地味な存在だった施工計画。それがいまや、受注や施工の成否を左右する重要なプロセスとしてクローズアップされています。公共工事の総合評価落札方式の入札で評価対象となることが増えただけでなく、施工計画自体の不備でトラブルに至る例が散見されるようになってきたのです。
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“達人”が明かす「土木の仕事で役立つ資格」
近ごろは土木分野で次から次に新しい民間資格が誕生し、類似資格も乱立しています。資格を取得し、技術力を高めて仕事の幅を広げようにも、どの資格を取得すればよいかがわからないという方は結構多いのではないでしょうか。
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将来も責任を果たすためのギリギリの選択
「よく中央の議論として、自由に使える色の着いていない真水(お金)を地方に回せばいいという耳障りのいいのがあるでしょ。道路に回したいところは回せばいいし、社会保障を充実したいところはそうすればいいと。それは勝手な議論です。ものすごく、勝手な議論」
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技術者個々の力量が問われる激動期
2008年は、厳しいなかでもなんとか踏ん張ってきた土木界を世界的な金融不況の荒波が襲いました。鋼材や原油の価格が乱高下して国内の土木工事に多大な影響を与えたことからみても、グローバル経済の大きなうねりが国内の土木の仕事をも翻弄(ほんろう)する時代になったことを痛感させられました。
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コンクリートは大丈夫か
2008年はコンクリートの品質管理について考えさせられる出来事が相次ぎました。