PR

 「団塊の世代」を中心とするベテラン社員が定年を迎え,大量に退職していく「2007年問題」が目前に迫ってきました。一方,ベテランの技術を受け継ぎ,将来の建設産業を担うべき若手技術者の「現場離れ」が止まりません。

 「努力が成果につながらない」,「顧客に感謝されない」,「相談できる相手がいない」などと悩み,「内勤」を希望したり転職したりする技術者が以前にもまして目につきます。

 仕事や会社に対する閉そく感がモチベーションの低下を招き,現場の仕事にやりがいを見いだせなくなってきたようです。本来なら仕事が楽しくて仕方がないはずの30歳代の技術者からも,「所長になりたくない」といった声が聞かれます。

 このような状況が続けば,団塊の世代が完全に退職する約5年後には,現場で的確に判断を下せる技術者がいなくなるかもしれません。

 判断できるプロの技術者がいない現場は“機能不全”に陥り,様々なトラブルが生じかねません。すでに,その兆候は現れつつあります。

 中でも最近は,技術力や社員教育がしっかりしているはずの大手企業でも,施工不良や安全義務違反,虚偽の報告などが相次いでいます。

 例えば,鹿島は防波堤工事の入札で配置予定技術者の工事経験を偽って国土交通省四国地方整備局から指名停止を受けたほか,NIPPOコーポレーションや大成ロテックが施工した舗装工事では,舗装の厚さ不足などの施工不良がそれぞれ発覚しました。

 日経コンストラクション12月8日号では,事例研究「どうした!?大手」でこれらのミスの背景や深層に迫りました。そして,モチベーションの低下が深刻な問題になってきたことから,「現場のやりがいを取り戻せ」と題した特集も併せて掲載しています。

 特集では,ミスやトラブルを防ぐだけでなく活力ある建設産業とするために,「チャレンジ」,「海外」,「抜てき」,「注目」,「報酬」の五つのキーワードごとに,それぞれやりがいの創出法を実例で描きました。

 例えば報酬では,成果主義の賃金体系が主流になるなか,あえて年功序列型の賃金体系に戻した建設会社を取り上げました。年功序列型には賛否両論ありますが,先行き不安な建設産業にあって,従業員の不安を取り除くことを優先したわけです。

 社員にコストダウンや営業などのテクニックをいくら教えても,成果が上がらないと悩む経営者は多いようです。成果を上げるためにはテクニックを伝えるより,まずは会社の理念や戦略を明確に打ち出し,社員のモチベーションの向上を図ることが欠かせません。

 経営者だけでなく現場の所長や管理職も,自らの考えや組織の運営方針を表明することが,何を重視すべきか戸惑っている職員の不安解消に役立つはずです。

 今年もあとわずかです。あわただしい時期ではありますが,個々の技術者の方も自らの理念についてもう一度,考えてみてはいかがでしょうか。