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 日本土木工業協会が「脱・裏設計」を打ち出したのが2006年4月。そのころから懸念されていた土木設計の品質への不安が現実のものとなってきました。日経コンストラクション2007年1月26日号の特集「劣化する設計」では,下請け建設コンサルタントの切実な声を拾い上げて土木設計の構造的な問題を浮き彫りにしました。

 「去年だけで,同じ構造物の詳細設計と照査を依頼されたことが数件あった」という下請け設計者の告白は捨ておけません。建設会社やメーカーが非公式な設計協力から手を引き始めてから,能力の高い下請け設計者を奪い合う状況が生まれているようです。しかも,元請け建設コンサルタント間の競争激化で設計の受注価格は低下しており,下請け設計者にしわよせが及んでいます。

 技術力の高い下請け設計者には,こなしきれないほどの仕事が集中し,価格競争で仕事をつかまざるをえない下請け設計者は大幅なコストダウンを強いられています。設計現場の疲弊は深刻です。

 特集記事を取りまとめた副編集長の安達功は本号の「編集メモ」で,「『発注者が設計を行う』という古びた建前に皆が縛られるなかで,結果的にしわよせを受けて困り果てる下請け設計者の訴えは,胸に迫るものがあった」とし,「一刻も早く建前を離れた改善策に取り組んでほしい」と結んでいます。安達はこの特集記事を最後に日経ホームビルダー編集部に異動しましたが,日経コンストラクションでは今後とも土木設計の構造的な問題を取り上げていくつもりです。

 このほか,日経コンストラクション2007年1月26日号では,「少子高齢化時代の土木」と題するトピックス記事で,今後のインフラ整備のあり方を展望しました。また,別のトピックス記事では,「荒廃するアメリカ」の著者の談話などに基づいて「『荒廃するアメリカ』のその後」を描き,米国がインフラの立て直しの過程で得た教訓を紹介しています。今後のインフラのあり方を考えるうえで参考にしていただければ幸いです。