2004年3月の箱根ターンパイクに続いて2006年3月には伊吹山ドライブウェイも買収――。オーストラリアの投資銀行,マッコーリー銀行が日本の有料道路を相次いで買収し,運営に乗り出しています。

 同行は社会資本の買収と運営を得意としており,2006年9月時点で,日本を含む21カ国に100以上の社会資本を所有・運営しています。

 例えば,パリとリヨンなどを結ぶ約2200kmの高速道路網をフランス政府から2005年に買収したほか,米国シカゴ市からは全長12.5kmの有料道路の運営権を買い取りました。

 日本でもさらに有料道路に投資していこうと,道路を管理している自治体とも交渉を始めました。日本では道路の所有権を民間に移転することは難しいので,道路事業の実施権だけを民間に移転する「コンセッション」と呼ぶ方式を考えているようです。

 社会資本の維持管理費や更新費用のねん出に悩む自治体にとって,道路などの売買が身近なものになりつつあります。同行の日本法人,マッコーリージャパンは「2006年度中に,コンセッション方式を導入しようとする自治体が出てくるだろう」とみています。

 同行は社会資本の運営で得られる通行料や手数料などを収益源としており,例えば東急電鉄グループから12億円で買収した箱根ターンパイクの場合,収入は年間に約5億円。

 買収にあたって人件費を半減したほか,買収前は二次下請け会社だった企業を対象に工事の入札を実施しています。結果,東急電鉄グループが保有していたころに比べて人件費を除いた維持管理費を8割程度に減らしました。

 日経コンストラクション10月13日号の特集は「維持管理の需要がもたらす将来像」と題し,維持管理の需要が増えてくると日本の公共事業や土木はどう変わっていくのかを各地の実例を基に描きました。

 社会資本の売買だけでなく,これから増えそうなのが包括発注です。北海道石狩市は136カ所の公園の管理を3年間,指定管理者の石狩総合管理協同組合に委託しています。

 さらに首都高速道路(株)は管内を5地域に分け,緊急の補修工事と道路の清掃業務を2005年度からまとめて年間契約で発注し始めました。それらの仕事を担う共同企業体(JV)の年間契約額は,1地域当たり十数億円に上ります。

 これまで維持管理や補修工事は小額の発注がほとんどでしたが,今後は1件当たりの契約金額が増えそうです。逆に発注件数は減り,受注競争は厳しくなるでしょう。

 財政難や公共投資の削減は新しいビジネスチャンスも生み出しています。例えば社会資本の売買に伴って,建設コンサルタントの日本技術開発は維持管理の方法などをアドバイスする仕事を手がけています。

 さらに同社はマッコーリー銀行とともに出資して,伊吹山ドライブウェイの運営に参画しています。いずれは建設会社や建設コンサルタントが自ら社会資本を保有し,運営する時代がやってくるかもしれません。