マスコミ報道の影響なのかアピール不足なのか,土木や公共事業のイメージはなかなか改善されず,その悪いイメージが実態をより見えにくくしているようです。

 例えば,大学などの土木系学科が不人気な理由を学生たちに尋ねたところ,土木に対するイメージの悪さと並んで理解不足が目立ちました。

 ある大手予備校の職員は「受験生だけでなく高校の進路指導の先生さえも,土木がどのような学問を扱う分野なのか知らない」と話しています。「橋は建築家が設計して,土木技術者は施工するだけ」と考えている人も珍しくありません。

 一般の市民の人が抱くイメージや理解度も同様です。日経コンストラクションが1000人の市民を対象にアンケート調査した結果,「公共事業を発注しているのはだれだと思いますか?」との問いに対し, 436人と最も多くの人が「政治家」と回答しました。

 さらに,「国土交通省や農林水産省」,「地方自治体」と答えた人とほとんど同じ数の人が,「ゼネコンなどの建設会社が発注者」と考えています。

 政治家が発注していると思う理由について尋ねたところ,「よく演説でそのようなことを言っているから」(東京都在住の男性),「自宅の近くに政治家道路と呼ばれる,あまり交通量の多くない割に立派な道路がある」(同,女性)といった意見が寄せられました。

 建設会社を発注者として考える理由は,「大きな力を持つゼネコンが結託して工事の発注を決めている」(高知,女性),「政治家と結び付き,自分たちのために公共事業を行っている」(奈良,女性)など,「ゼネコン=悪」のイメージに基づく回答が少なくありません。

 しかも特筆すべきは,「関心がない,わからない」と答えた人が329人と,「政治家が発注者」と答えた人に次いで多かったことです。

 これまで,国土交通省などは公共事業や社会資本の必要性について説明し,広報にも力を入れてきたはずですが,市民にまで届いていないようです。先のアンケート調査によれば,「公共事業は説明不足」と感じる人は約8割に達しています。

 日経コンストラクション9月22日号の特集は,上記のような市民の意識,地方の実態,2007年度予算の方向性などを基に,これから求められる公共事業や社会資本の姿を描きました。タイトルは「ポスト小泉時代の社会資本整備」。

 離れてしまった「民意」との距離を縮めるためには,広報の大切さは言うまでもありませんが,精ちなデータを示して事業の必要性を訴えるだけでは不十分です。

 論理より印象が先行しがちな昨今,キーワードとして考えられるのは「夢」や「期待感」。かつての社会資本整備にあったはずの夢や期待感を,量や質が激変するこれからの社会資本整備でどう見いだし,社会に伝えていくか――。

 日経コンストラクションをお読みいただき,個々の技術者の方もぜひ,お考えください。