予定価格を大幅に割り込む「低入札」が,収まりそうにありません。例えば国土交通省近畿地方整備局が7月に発注した第二京阪倉治中地区PC上部工事では,59億1876万円の予定価格(税抜き)に対し,落札価格は31億円。

 落札率は52.4%と,同局のWTO(世界貿易機関)政府調達協定対象工事としては過去最低を記録しました。入札には総合評価落札方式を採用し,三番目に低い価格を提示した大成建設が落札しました。

 日経コンストラクションが建設会社の2005年度決算を調査したところ,土木売上高が1000億円以上の大手13社のうち,12社で土木の完成工事総利益率が前期より低下。来期以降の利益率も,公共工事の落札率の低下によってさらに悪化する兆しが見られます。

 「選別受注で採算を重視」から「赤字にならない程度の受注」へと,各社の姿勢が変わってきたようです。例えば,かつて金融支援などを受けた会社が財務体質を改善し,積極的な受注へと転換してきました。

 選別受注で採算性が向上した半面,入札参加に必要な実績を満たせなくなる工種が出てきたことから,「こうした工種では多少無理をしてでも取りに行く。粗利が落ちることも見込んでいる」と,方針転換を打ち出す建設会社が目立ちます。

 建設コンサルタントの場合は,アンケート調査に回答した企業の約3割が前期に比べて10%以上,売上高を減らしました。建設コンサルタント部門の売上高総利益率を平均すると,2005年度は26.7%。前期の27.3%に比べてやや低下しました。

 一方,建設コンサルタント登録の企業数や技術者数は増えています。建設コンサルタント部門の技術者数が多い上位20社のうち,13社で技術者が増加。なかでも日本工営は前期比で19.5%,長大は同15.7%とそれぞれ大幅に増やしました。

 増え続けるプロポーザルに対応する人員が,さらに必要になってきたからです。建設会社でも,総合評価落札方式などの増加を受け,社員の育成や確保が急務になっています。

 大手建設会社などの「脱談合宣言」を機に,建設産業は本格的な「自由競争時代」に突入しました。建設会社も建設コンサルタントも企業規模に関係なく,「提案力を強化しなければ今後は落札できなくなる」と考える企業は少なくありません。

 日経コンストラクション9月8日号の特集,決算ランキング2006は「勝てる技術者の育て方」と題し,上記のような決算の結果や傾向を交えながら,これからの「自由競争」をにらんだ各社の対応策を描きました。

 特集に伴って実施したアンケート調査の結果によれば,技術提案型の入札に対応する方法として,「社員教育」を挙げる企業が建設会社で69%,建設コンサルタントで73%といずれも最も多く,「技術提案に対応する人員を増やす」がそれぞれ続きました。

 他方,「提案資料の作成などが増えて利益を圧迫する」といった声も聞かれます。落札率の低下とも相まって,利益をどう確保するか――。その打開策を得るためにも,日経コンストラクションを今後ともご愛読ください。