日経コンストラクションが2006年5月26日号の特集で10年後の技術動向を予測したところ,「10年後には,主要な構造物はセンサーで監視する時代になっているだろう」と考える建設会社は少なくありませんでした。

 構造物の経年劣化を長期にわたって計測する技術に関心が高まるなか,それらの技術に大きな影響を与えそうなのがICタグです。バーコードより遠くから読み取ることができ,耐久性にも優れていることから,建設産業でも品質管理などに採用するケースが増えてきました。

 維持管理の分野では,例えばガードレールなどの道路施設にICタグを張り付けておき,点検の履歴を現場で確認しています。しかも,携帯電話機を使って事務所などのデータベースを現場から更新する取り組みも始まりました。地下の埋設物にICタグを取り付けて,掘り返す際に損傷を防ぐ実験も試みられています。

 構造物に生じたひずみなどのデータを,ICタグに蓄積するシステムの開発も進んでいます。一定以上の加速度や傾斜を検知した際に電波を発するセンサーをICタグと組み合わせれば,既設構造物のアセットマネジメントにも利用できそうです。

 例えば,橋の床版や橋脚にセンサー付きのICタグを設置して振動や変位などの情報を収集し,異常値を得た場合はICタグが電波を発信して管理者に知らせる――。このように,補修の時期を構造物が知らせてくれる時代が間もなく来るかもしれません。

 日経コンストラクション6月23日号の特集「ICタグで変わる建設産業」では,維持管理以外にも安全や労務などの管理にICタグを活用して効果を上げている先進例を取り上げています。併せて,ICタグがこれからの建設産業に与える影響についても探りました。

 特集だけでなく,同号では建設産業をめぐる「変化」に改めて着目し,例えばトピックスでは合併や異業種との資本提携が相次ぐ建設コンサルタントの再編に焦点を当てました。

 合併などによって新たなビジネスチャンスを見いだそうとする企業が目につきます。国土環境と日本建設コンサルタントが6月に合併して生まれた「いであ」もその一つです。

 両社の技術を組み合わせ,例えば海辺の環境整備事業にトータルで使える技術やサービスの構築などを考えています。合併によるシナジー効果で売上高や利益を増やし,2008年度までの3年間で営業利益を4倍に増やす目標を立てています。

 もう一つの変化は「地方」です。「全国標準を疑い始めた発注者」と題し,国が作成した基準やマニュアルを各地の実情に合わせて見直し始めた自治体などの動きを描きました。

 例えば石川県は新技術を認定して歩掛かりも独自に作成し,県発注の工事に「標準設計」として採用する制度を2005年度に立ち上げました。2006年2月に「イージースラブ橋工法」と「かんたん法枠工法」という二つの工法を認定。コストの削減を実現しています。

 他方,同号のニューズレターでは談合や安値受注,測量ミスといった事件やトラブルを取り上げています。これらのニュースと先の特集やトピックスで描いた変化とは無関係ではありません。いずれも,体質転換に向けた建設産業の「今」を読み解き,今後のあり方を考える際のヒントになるはずです。