売上高の減少に伴って研究開発費を削減する企業は多く,土木技術の開発を取り巻く環境はますます厳しくなってきました。専任の研究者を減らす企業も増えるなか,これからの技術開発はどのような方向に進むのでしょうか。

 日経コンストラクションが発注者や建設会社,建設コンサルタントにアンケート調査したところ,「いますぐにでも必要な技術」として最も多かったのはコストダウンに関する技術。次いで,既設構造物の補修・補強や調査,耐震・防災の技術が挙がっています。

 特に発注者は補修や調査の技術に関心が高く,回答者の約半数が「すぐにでも必要」と答えています。日経コンストラクションが1999年に実施した同様の調査では3割にとどまっており,7年前に比べて維持管理の業務がより切実になってきたと言えそうです。

 一方,99年の調査で約6割の発注者が「すぐにでも必要」と答えた「建設副産物のリサイクル技術」は,今回は3割に減少しました。2000年に成立した建設リサイクル法に伴って,コンクリートや汚泥などを再利用する技術開発が進んだ結果のようです。

 そして,「10年後に必要な技術」について尋ねたところ,緑化や自然再生の技術のほか,GIS(地理情報システム)やデータベースを活用した情報技術を挙げる発注者が多く,コストダウンへの関心は相対的に低い結果となりました。

 発注者のニーズで現在も10年後も大きく変わっていないのが,補修や調査の技術です。先の緑化やGISの技術を上回って最も多くの発注者が,「10年後に必要」と答えています。なかでも高所や水中,地中にある構造物の簡易な遠隔監視の技術が求められています。

 企業の開発状況に目を転じると,構造物の経年劣化や地震などによる変位を長期にわたって計測する技術の開発に,多くの建設会社が力を入れています。「10年後には,主要な構造物はセンサーで監視する時代になっているだろう。そのころにはセンサー技術だけで,利益を出せるようにしたい」と考える建設会社も珍しくありません。

 維持管理の技術より「10年後に必要」と建設会社が挙げたのが,「温暖化ガスの抑制技術」です。二酸化炭素を液化して地下の帯水層に封じ込める事業がこれから増えるからです。

 さらに,風力発電の改良やメタンハイドレートを海底から採取する技術,バイオマスを利用した発電・熱利用などの技術開発も活発になりそうです。

 創刊400号となる日経コンストラクション5月26日号では,このように10年後の技術動向を予測したほか,ノウハウの伝承に力を入れるベテラン技術者の実例などを取り上げています。「技術こそ誇り」と題し,土木技術者がこれからも誇りを持って技術をよりどころに活躍し続けるために,土木を支える人と技術の未来について考えました。

 技術と並んで,入札・契約制度の行方も土木の将来を考えるうえで無視できません。同号の「ニュースの焦点」では,「いまの入札制度には調整行為を前提としているような部分がある」と,制度の見直しを求める(社)日本土木工業協会の提言を取り上げました。

 提言に対して自治体などの発注者から異論が相次いでおり,「手伝い設計をやめる」と宣言したことで,建設コンサルタントとの関係にも影響を与えそうです。

 特集でも描いたように,既設構造物の調査や計測に建設会社が乗り出すケースが増えてくるのは間違いありません。建設会社と建設コンサルタントとの関係や旧来の“しきたり”が,きしみ始めています。