群馬県嬬恋村に2006年5月,例のない構造形式の橋がお目見えします。約60mの川幅を途中に橋脚などを設けずにまたぐ歩道橋で,「二重張弦桁橋」と呼ぶ構造を採用しています。一次と二次の2種類のPC鋼材を使い分け,たわみを抑えた吊り構造の橋です。

 発注方式は,「設計・施工一括発注による技術提案型の総合評価落札方式」と少しややこしいですが,簡単に言えば「構造や材料,工法は入札参加者の自由」。村は,(財)群馬県建設技術センターに発注方式の立案から技術提案の審査,工事の監督や検査までほとんどの業務を委託し,新技術の採用に結び付けています。

 このように,実績のない技術であっても採用しようとする機運が高まってきました。その背景について,国土交通省のある職員は「標準工法でのコスト削減には限界がある。いま以上のコスト削減を目指すなら,従来なかった技術を採用するしかない」と話しています。

 技術提案を求める入札・契約方式の増加に伴って,「実績主義の壁」が崩れつつあります。日経コンストラクション4月28日号の特集「受注に効く新技術」では,企業の提案力や技術力がどう評価されて新技術の採用や受注に結び付いたのかを,主要な発注方式のポイントとともに描きました。

 総合評価落札方式や設計・施工一括発注方式,プロポーザルの採用がますます増えるのは間違いなく,さらに「他社より優れた技術を持つ会社とは随意契約が自然」と指摘する声も珍しくなくなってきました。

 長野県は,汚染土壌の浄化技術を提案した地元企業と随意契約を結んでいます。同県が設けた「信州発・先進技術」のモデル事業の一つです。県の各建設事務所が工事個所(モデル事業)を決め,現場条件を具体的に示したうえで新技術を公募しており,他県にはあまり見られないユニークな制度と言えます。

 長野県に限らず,新技術を採用しやすい仕組みづくりに多くの自治体が取り組んでいます。自治体の工事や設計業務も技術力重視へと移るなか,技術開発や適切な技術提案ができるか否かは,地元企業の受注や将来を大きく左右しそうです。

 開発部門を持たない建設会社や建設コンサルタントでも,技術開発は可能です。例えば異業種と連携する。秋田県の大森建設は,将来性のある環境分野に進出するために,秋田工業高等専門学校と共同で研究開発しています。

 秋田高専との間でうまく役割分担し,2005年度には余剰生コンクリートのリサイクル技術の実用化にめどをつけました。「技術力を高めて他社ができないことをやる。そうすれば価格競争の消耗戦に巻き込まれない」と同社では考えています。

 大森建設の事例を含め,同号のトピックスは「連携に活路見いだす地場建設業」と題し,異分野の力を借りながら新たな一歩を踏み出した各地の建設会社を取り上げました。

 なかには, FM局を立ち上げた建設会社もあります。地域への情報発信手段を得ることで,自分たちの存在や仕事の内容を潜在顧客である地域の人に知ってもらうためです。これから民間の仕事を増やすうえで,地域へのPRは欠かせないととらえています。

 同号の「地方の生き残り策」で取り上げた茨城県の平和建設も,社員のコミュニケーション能力を高め,それを民間分野への事業拡大などにつなげようとしています。

 発注者に新技術を提案して採用に結び付けるうえでも,相手に情報を伝えたり自分の考えを表現したりするスキルは欠かせません。先述の特集では430の最新技術の特徴なども併せて掲載しています。多くの技術情報を入手して提案力や技術力を磨き,本格化する技術競争に打ち勝つために,日経コンストラクションをぜひお役立てください。