一連の橋梁談合事件や2006年4月の(社)日本土木工業協会(土工協)の提言を機に,「談合を少しでも疑われる行為はもうできない。透明性に欠け,社会の信頼を得られない」として,「設計の事前協力をやめる」と宣言する建設会社やメーカーが相次いでいます。

 鋼橋の談合事件では,メーカーが建設コンサルタントの設計業務を手伝い,その協力度合いによって受注者を決めるケースがあったとされました。

 受注を有利にするために,工法の比較検討資料の作成から詳細設計まで,各社が競うように設計業務を非公式に手伝ってきたのは間違いなさそうです。

 設計の事前協力,いわゆる「裏設計」のねらいは受注を有利にするためだけではありません。「技術力のない建設コンサルタントが設計して現場で困るよりは,受注できなくても手伝った方がいい」といった声も聞かれます。

 鋼橋だけでなく,PC(プレストレスト・コンクリート)橋や基礎の分野でも「間違った設計がされないように」と考え,事前協力を行ってきた企業は少なくないようです。

 問題があるのは一部の建設コンサルタントだけかもしれませんが,「裏設計」をやめることで設計の質の低下を危ぐする建設会社やメーカーは珍しくありません。そして,土工協の葉山莞児会長は次のように指摘しています。

 「われわれが事前の設計に手を貸さなくなったら,だれが一番困るのか。当面は建設コンサルタントが困るだろうが,最終的にはいい成果品ができなくなって発注者が困るということを,発注者はどのくらい理解しているのか」――。

 日経コンストラクション7月28日号の特集「脱・裏設計の波紋」では,建設コンサルタントに対する建設会社などの非公式な事前協力の実態を詳報。その実態を踏まえ,裏設計をやめることで生じる影響や設計業務をめぐる役割分担の変化を描きました。

 実態を取材する中で,ある建設コンサルタントは「施工計画を手伝ってくれる建設会社を,発注者から紹介されたことがある」と話しています。先述の「成果品の質の低下」に対する指摘も含め,事前協力は発注者にとっても無視できない問題と言えます。

 日経コンストラクションでは,2006年4月14日号の特集「今度こそ本気の法令順守」で「談合決別」に向けた建設会社や業界団体の動きを描き, この7月28日号では上記のようにグレーな部分が顕在化してきた設計業務の行方を探りました。

次号の8月11日号では,発注者に焦点を当てます。果たすべき役割や責任の変化に戸惑いながらも,自ら「変わろう」と行動し始めた各地の発注者の実例を通して,土木技術者がやりがいを持って働くためのヒントを探ります。引き続き,ご愛読ください。