
武藤聖一の欧州「最新建築」撮り歩記
目次
-
【第93回】モバイル的な利便性を追求したデザインホテルへ─アムステルダム・オランダ
アムステルダム・スキポール空港の第三ターミナルを通関してロビーに出ると地下に鉄道駅があり、右にファーストフード店などが並ぶショッピングモールが続いている。さらに進んで空港への搬入搬出用の道路と駐車スペースから屋根付きの通路を200mほど歩くと、昨秋オープンした「CITIZEN M HOTEL」に到…
-
【第92回】7度傾けて増改築した美術館へ――ドイツ・マインツ
人口20万のマインツは河川交易の中継基地とし発展してきた。今回は、この港の税関施設だったエネルギー供給センターが、モダンな市美術館として大変身を成し遂げたマインツ・アートギャラリー(Kunsthalle Mainz)を訪ねた。
-
【第91回】多彩な浴場デザインを満喫できる温泉レジャー施設へ─バッド・アイブリング・ドイツ
昨春のシリーズ45回では、マリオ・ボッタ設計のスイスのスパを紹介した。今年はドイツ・バイエルン州の州都ミュンヘンの南東60kmほどにあるバッド・アイブリングという、小さな町の温泉レジャー施設を訪ねてみることにした。ミュンヘン中央駅からザルツブルク行きのIC列車に乗り、最初の停車駅ローゼンハイムで降…
-
【第90回】S字の外壁が印象的な変形住宅へ――ドイツ・カールスルーエ
ドイツを車か列車で移動していると、毎度のことだが、市街地では商工業国としてのパワーフルな側面、抜け出して見えてくる郊外では耕作地や恵まれた自然の素晴らしさを感じ、バランスのとれた豊かな国だなあと改めてつくづく感心させられる。
-
【第89回】ヨーロッパ一の環境財団本部へ──ドイツ・オスナブリュック
ドイツ西部、オランダとの国境寄りに人口16万人のオスナブリュック市がある。観光的にはあまり聞きなれない地名ではあるが、三十年戦争の終結和睦が成立した1648年、ウェストファリア条約の締結で、ミュンスター市とともに歴史的舞台となった地として知られる。この講和条約は今日の国際法のモデルとなって受け継がれ…
-
【第88回】外観に変化を持たせた集合住宅へ――ドイツ・カールスルーエ
ライン川を隔ててフランスと国境を接するドイツのカールスルーエ市。人口30万弱、黒い森の北端に位置する中規模都市だが、どういうわけか最高裁判所がこの地にある。重要な裁判はここからメディアに乗って発信されるため、市の知名度は高いのだそうだ。
-
【第87回】カラフルなロゴが印象的なAHMM設計の公立学校へ──英国・ロンドン
英国の21世紀のモデル校にふさわしい公立学校がある。建築家グループ、アルフォード・ホール・モナガン・モリス(Allford Hall Monaghan Morris、AHMM)が設計を手掛け、約50億円を費やして2007年秋に竣工。児童数1175人、教職員はその約1割に当たる128人、5階建て・延…
-
【第86回】戸建てとして初のパッシブハウスへ――スウェーデン・ストックホルム
エコロジー的で省エネ技術を駆使した“パッシブハウス”(無暖房住宅)と呼ばれる住宅が最近関心を呼んでいて、ストックホルムで初の戸建て住宅が竣工間近だと聞き、アルランダ空港近くにあるアンドレアス・グランベックさん宅を訪ねてみることにした。
-
【第85回】大変身を遂げた歴史的街区の学校へ──英国・ロンドン
住宅や化粧品、健康機器などのビフォー&アフター的視点で、驚異の大変身を成し遂げた学校がロンドン市内にある。「セント・マリボーン・チャーチ・オブ・イングランドスクール」と長い正式名のセカンダリースクールがそれ。11歳から18歳までの女子生徒900人が通う、日本でいう中高一貫の公立学校である。
-
【第84回】王立植物園にかかる空中遊歩道へ――英国・ロンドン
久し振りのロンドン。休暇の感覚でリッチモンドにあるキューガーデンを訪ねてみることにした。テムズ河畔にある観覧車「ロンドン・アイ」のデザイナーとして知られるマックス・バーフィールド・アーキテクツ設計の空中遊歩道(Treetop Walkway)が、オープンしたというニュースを聞いていたので、ぜひとも見…
-
【第83回】90歳の現役建築家を起用した建て売り住宅へ――スウェーデン・ストックホルム
国際的な知名度はさほどでないが、1930年代からこの道一筋、しかも90歳の今でも現役を自負するベント・リンドロース(Bengt Lindroos)という建築家がいる。これまで手掛けてきた数々のプロジェクトの集大成として、建て売り住宅のシリーズ、“ノールパダ”がある。85m2から322m2まで9つのバ…
-
【第82回】真っ赤なトンネルが印象的なオフィスへ──ストックホルム・スウェーデン
「撮り歩記」第64回で紹介した2008年「スウェーデンのベスト職場賞」を受賞した建築家、ファビアン・ワンクヴィスト氏が新たに手掛けた「ヒル アンド ノウルトン・スウェーデン」新社屋のインテリアは、オフィスと商空間をフージョンさせる試みとして注目される。
-
【第81回】コンクリート打ち放しの戸建て住宅へ──ストックホルム・スウェーデン
今回紹介するのは家具デザイナーとしても著名な建築家、ヨハネス・ノーランダー氏設計による総面積160m2の2階建て住宅だ。白いコンクリートの固まりに見える、この建物はスウェーデンの戸建てとしては狭小の部類と言える。ストックホルムの南東に位置し、都心からわずか十数分の閑静な住宅地にある。
-
【第80回】入り江に迫る420m2の大邸宅へ――スウェーデン・ホーヴァス
エントランス側の外観からは邸内がまったく想像のつかない設計となっているが、ドアを開けて中に入ると、ファサードの閉じた雰囲気は一転する。正面から狭い階段が階下に延び、高さ7メートルあるガラスのフレーム内に緑の芝生とプール、それに続き海の入り江が押し寄せる。遠近感ある風景が大胆に迫ってきて、そのインパク…
-
【第79回】ヴィンゴード設計の木造エコ住宅へ──スカラ・スウェーデン
スウェーデンを代表する建築家、ゲルト・ヴィンゴード氏設計の作品は第24回と62回で紹介した。プライベートの住宅も数々手掛けており、この夏紹介された中から取材許可を得た住宅2件を訪ねてみることにした。
-
【第78回】魅惑的な光を発するシングル向け住宅へ――スウェーデン・ストックホルム
市の南端、地下鉄中央駅から20分ぐらいに位置するホイダール地区に若者、学生向け住宅として完成し、今年の一月に入居を完了した「クバーテレット・トバースラーン」(Kvarteret Tvarslan)は、市民にポジティブな話題を提供した。
-
【第77回】自然の起伏を利用した住宅団地へ──ソレンチュナ・スウェーデン
人口密度の低いスウェーデンは自然に恵まれているため、大胆な発想とデザインの魅力的な住宅づくりが進行している。今回は、最近話題となった戸建ての木造住宅団地を紹介する。
-
【第76回】古城に隣接して控え目にたたずむ美術館へ――スウェーデン・カルマル
カルマルといえば中世にバルト海の覇権をめぐって、デンマーク王国を盟主にしてスウェーデン、ノルウェーの三国間で締結されたカルマル同盟を思い起こす人が多いことだろう。その歴史の舞台となったカルマル城に隣接する市公園内に今春に開館したカルマル美術館を訪ねてみることにした。
-
【第75回】北欧ガラス工芸の殿堂へ──エーランド島・スウェーデン
スウェーデンのスモーランド地方といえば、ガラス工芸やモダン家具の生産地として知られ、コスタボダやオレフォスといった伝統あるガラス工場や数々の工房が森と畑などに囲まれた村落に散在している。北欧の工芸とかプロダクトに興味ある人ならピンと来るはずだ。コスタボダのアートガラス作家、ウルリカ・ハイドマン・ヴァ…
-
【第74回】別荘気分を味わえる湖畔の戸建てへ――スウェーデン・スモーランド地方
ヨーロッパ大陸はまだバカンスの真っ只中であるが、秋口のスウェーデンではもう既に新学期が始まっている。気分一新、ストックホルムから南のスモーランド地方を車で回ってみることにした。