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 欧州の街並みがクリスマス色に彩られるころ、スウェーデン・ストックホルムから空路ドイツ北部の都市、ハンブルグに飛び、バスで中央駅に向かった。1980年代の半ば、デザインに関する取材で欧州を駆け回っていたころ、交通手段を列車に頼っていたことが多かった。パリや南欧への玄関口となるハンブルグは私にとってターミナル駅のような存在だ。

 この駅舎は100年余の歴史を残すメタリックのアーチ型で、喧騒(けんそう)と人のにぎわいは、その当時を懐かしく思い出させてくれる。14番線のICE(インターシティーエクスプレス)に乗り込むと、列車は2時間足らずで国際見本市会場として知られるハノーバーに到着、駅近くに宿をとった。

 目指す「PHAENOサイエンスセンター」はフォルクスワーゲンの街として知られるウオルフスブルグにある。翌朝、ハノーバーからベルリン行きの列車に乗り、車窓に繰り広げられる田園風景に目を奪われている間に、到着する。この間、1時間弱。駅構内から広場に出て、視線を左に振ると、鋭角にとがった白い船体のようなコンクリートの巨大な建造物が目に入ってきた。

全景
全景

2階の開口部
2階の開口部

 目指すサイエンスセンターと駅舎とが広場を共有している。なんとアクセスが楽なのだろう! このプロジェクトは2000年、8カ国から23組の建築家が参加したコンペでザハ・ハディドが勝ち取ったもの。2001年に着工、7900万ユーロを費やし、2005年11月24日に竣工した。日本円に換算すると約130億円といったところだ。

 1階は曲面の壁に囲まれた構造体を随所に築き、細かい柱や梁がない。この巨大なピロティを介して長さ154m、高さ22mに及ぶ彫刻のような本体を持ち上げている。内部のホールへは広場に面したエントランスから、エスカレーターでアプローチする。9000m2あるエキシビションホールには、250のブースがある。そのほとんどがオープンなつくりなので迷うことがない。

2階ホール
2階ホール

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