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 コペンハーゲン中央駅とチボリ公園の間の道路を南へ2ブロックほど下ると運河に出る。以前は埠頭(ふとう)だった場所だが、最近はモダーンなオフィスビルが並び、にわかに活気づき始めている。

 右に折れてしばらく行くと、左側にシドニーオペラハウスの設計者として世界的に知られるヨルン・ウッツオンと息子のキム&ファミリーが設計を手がけたアイランド・ホテルが見えてくる。そしてその先には、新ミレニアムにオープンした、市内唯一の規模を誇るショッピングモール、フィスクトウが続く。このかいわいは西に向かう街道筋への出口に当たるため、交通量は多い。埠頭に面した側では現在、散策コースの整備も進行している。

 目を運河の対岸に向けると、文字通りツインタワーのジェミニ・レジデンス・ビルが望める。空港のあるアマガー島の北の端、イースランドブリュッグと呼ばれる地区である。

運河の対岸に立つツインタワー
運河の対岸に立つツインタワー

 この辺りは戦後、海運業界の不振と運搬手段の変革のあおりを受けて港の機能や倉庫群は疲弊し、非行化や社会問題の元凶となっていた。そこで、30年ほど放置状態だった家畜飼料用の穀物を貯蔵するサイロの処遇問題が浮上し、産業モニュメントとして残して再構築することになった。オランダの建築事務所MVRDVとデンマークのJJW ARCHITECTSのコラボレーションによって、集合住宅にコンバージョンしたのがこのジェミニ・レジデンスだ。

サイロの約4分の1の高さに住宅部分を持ち上げている
サイロの約4分の1の高さに住宅部分を持ち上げている

 コンクリートのサイロをコアとして、約4分の1の高さに住宅部分を持ち上げた独特なフォルムである。建物の前に出てみると、両サイドがオフィスビルで、駐車場は地下に設けてあるためか、意外に整然としていて、美術館のフロントに立っているような錯覚に陥る。

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