PR

 セーヌ川に優雅なたたずまいを見せるシモーヌ・ド・ボーヴォワール橋を右岸のベルシー側から渡りきると正面に国立図書館があることはすでに第11回で紹介した通りだ。図書館の背後には中部フランス方面への列車ターミナルとして知られるオステルリッツ駅があり、不用となった引き込み線路が川沿いに延々と続く。ZAC地区の再開発も進んでおり、かつての汐留駅周辺のプロジェクトとも似ている感じだ。

 図書館前に設置された木のパネルの長い階段から数百mの所に、パリ・ヴァル・デュ・セーヌ建築大学の新キャンパスがもうすぐ竣工するというので、訪ねてみることにした。この辺りはパリ市のはずれで、1892年に操業開始したSUDAC社の圧搾空気の工場があった場所だ。メタリックの枠で補強された赤レンガ造の工場とペアとなった赤レンガの煙突は1994年に歴史建造物に指定されている。

赤レンガ造の煙突
赤レンガ造の煙突

パリ・ヴァル・デュ・セーヌ建築大学の新校舎は歴史建造物の工場棟と10階建ての新築ビルからなる
パリ・ヴァル・デュ・セーヌ建築大学の新校舎は歴史建造物の工場棟と10階建ての新築ビルからなる

 国は現在市内4カ所に分散している建築大学の総合キャンパスの建設を計画した。コンペで勝利したのは59年生まれのフレデリック・ボレル氏。クリスチャン・ド・ポルザンパルク氏に師事したこともある建築家だ。

◆next:流動感やボリューム感を引き出す