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南東面から見る。写真では見えないが、西面の屋根の頂部には開閉式のトップライトを設けている
南東面から見る。写真では見えないが、西面の屋根の頂部には開閉式のトップライトを設けている

 森の中の小屋はどうあるべきかを考えた。樹木は垂直に立っている。その樹木のうちの何本かを斜めに傾けて頭をつなぐと、その下に三角形の室内空間らしいものが形成される。桂離宮の桂垣の創作方法に似たこの操作は、自然に加えられた最小限の操作であり、「自然に近い」建築をつくる方法でもある。

 そこで3枚のパネルを、樹木の頭をつなぐように互いにもたせかけた三角錐(すい)の形状を採用した。3枚とすることで、直交座標的な方向性がなくなり、無方向な森とうまく調和できる。屋根でも壁でもあるこのパネルは、この地域の寒冷気候に配慮して、コールドルーフ外断熱工法とした。カラーガルバリウム鋼板と断熱材の間に空気層を内包し、スノコ(ベイマツ)下の空気層と合わせた二重の空気層が、高い断熱性能を確保し、同時に冬季のすがもれを防止する。

 夏季は冷涼な気候を考慮して冷房をなくし、換気のみとした。パネルの勾(こう)配と高い天井高は重力換気を促し、さらに屋根頂点近くにトップライトを設けたことで、吸引効果による換気をもたらす。トップライトからの光は、天井現しの垂木で拡散され、木漏れ日のように変化する。こうして建築と森との融合が完成した。

ワイ ヒュッテ
所在地=東日本
主用途=住宅(別荘)
敷地面積=1127.80m2
建築面積=73.37m2
延べ面積=90.51m2
構造・階数=木造、地上2階
家族構成=夫婦
設計者=隈研吾建築都市設計事務所(隈研吾)
施工者=第一建設
施工期間=2005年10月~ 06年3月
屋根仕上げ=カラーガルバリウム鋼板t=0.35立てハゼ葺き、一部スノコ:ベイマツt=18×120@240ACQ 処理