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2005年度からスタートした東京都らのクールルーフ推進事業は、屋上を緑化したり、高反射率塗料で屋根を被覆したりすることで、屋根の表面温度を下げて空調負荷を軽減し、CO2の発生やヒートアイランド現象を抑えることが目的だ。2007年度は、3カ年事業の最終年度だ。同事業の成果や反省点などについて、東京都環境局都市地球環境部の谷上裕計画調整課長に聞いた。(聞き手:増田 剛)

─クールルーフ推進事業の今年6月末時点までの実績を説明してもらえますか。

 2005年度からスタートした3カ年事業ですが、事業者への交付金の交付が始まったのは06年度からです。この時期から07年6月末までの1年2カ月の実績でみますと、06年度は、交付金を受けた件数が36件、金額は約6700万円。07年度は27件で、金額は約5000万円です(6月末時点での実績は表を参照)。

――目標通りの成果でしたか。

 交付金の目標額は年間1億円でした。06年度は約7割達成し、07年度は6月時点で既に5割を達成しています。07年度は、まだ申請を受け付けており、最終的に目標を達成したいと思います。

――用途別にみて多かった建物は何ですか。

 オフィスと戸建て住宅です。それぞれ17件で、全体63件中の27%を占めます。オフィスが多かったのは、今回の事業で指定した7区の特性が大きいと考えています。この7区は都心部にあり、オフィスが多い。このため、オフィスなどを改修する際、クールルーフ推進事業を利用した例が目立ちました。そういう意味でも、今回の事業によって、ヒートアイランド対策の需要を掘り起こせたと考えています。

――屋上緑化と高反射率塗料はどちらが多かったのですか。

 施工面積と件数、どちらでみても高反射率塗料が多い。例えば、施工面積では、高反射率塗料は約1万8200m2(80%)でしたが、屋上緑化は約4400m2(20%)です。

 高反射率塗料が大半を占めた理由はやはり、施工しやすさにあったと考えています。屋上緑化を採用するためには、屋根や屋上の積載荷重の問題があり、躯体が構造的にしっかりしている必要があります。

 一方、高反射率塗料は屋根面などに塗るだけですから、構造的な制約が多くはありません。

――屋上緑化、高反射率塗料、それぞれの1m2当たりの施工単価はどのくらいでしたか。

 屋上緑化の施工単価は1万4000~11万6000円、高反射率塗料の施工単価は2000~1万7000円。予想外だったのですが、ばらつきがとても大きいことがわかりました。

 屋上緑化は、植える植物や緑化システムの違いで費用が異なるとわかるのですが、高反射率塗料でも幅が大きいのは、メーカーによって塗料の値段が倍近くも異なることや、施工条件の違いで足場などの仮設費用がかかるためのようです。

――現時点での事業に対する評価を聞かせてください。

 ヒートアイランド対策の一つとして、クールルーフの認知度を高めることができたと考えています。また、屋上緑化と高反射率塗料による屋根被覆が、ヒートアイランド対策として有効であることを改めて実証しました。

――反省点はありますか。

 建築会社や建設団体へのPRが足りなかったのではないかと反省しています。新築の場合、設計の段階で今回の補助事業を取り入れてくれれば、いろいろな意味でメリットがあると期待したのですが、新築物件への適用はほとんどありませんでした。

――クールルーフ推進事業は08 年度以降も継続するのですか。

 今回のクールルーフ推進事業は国のモデル事業のため、07年度で終了します。都としては、今後、事業の検証を踏まえ、区などとも連携し、PR・普及活動などに力を入れていきたいと思います。

――都は、高反射率塗料の施工を義務化する予定はありますか。

 今のところ、具体的な動きはありませんが、今後の検討課題にはなると思っています。


※2 ホテル、駅ビルなど ※3 住宅と商業、住宅と事務所などの併用 
※2 ホテル、駅ビルなど ※3 住宅と商業、住宅と事務所などの併用

 クールルーフ推進事業は、東京都と7つの区(千代田区、中央区、港区、新宿区、台東区、品川区、目黒区)などで構成するクールルーフ推進協議会(※)が、環境省の「環境と経済の好循環のまちモデル事業」を利用して進める補助事業だ。7区内にある建物を所有する個人または法人、自治体を対象に、「夏季において、定期的に空調機器を使用する部屋直上部の屋上および屋根に、屋上緑化もしくは高反射率塗料を施工する事業」に対して経費の半額を補助する。ただし、上限額と最小施工規模については規定がある。
※ URL:http://www.coolroof.jp/

東京都環境局都市地球環境部計画調整課長 谷上裕(写真:田中 昌)
東京都環境局都市地球環境部計画調整課長 谷上裕(写真:田中 昌)