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 菓匠 桔梗屋。名古屋市の住宅街の中にある和菓子屋。しっくいの白い壁、天井にはのれんをモチーフにした布が幾重にも重ねて吊るしてある。老舗ゆえの意気込みを「のれん」で表現。布同士のすき間に照明を入れて、器具自体は見えないようにしてある。そうすることで、ぼんやりとした光の積層が生まれ、床・壁の間接照明と相まって、独特の空気をつくり出している(写真:淺川 敏)
菓匠 桔梗屋。名古屋市の住宅街の中にある和菓子屋。しっくいの白い壁、天井にはのれんをモチーフにした布が幾重にも重ねて吊るしてある。老舗ゆえの意気込みを「のれん」で表現。布同士のすき間に照明を入れて、器具自体は見えないようにしてある。そうすることで、ぼんやりとした光の積層が生まれ、床・壁の間接照明と相まって、独特の空気をつくり出している(写真:淺川 敏)

──デザインを考えるとき、照明計画はどのように位置づけていますか。

君塚:その場所を考えるときに、最も重視していることです。魅力に直結すると思っていますから。予算がなくて材料を削ることはあっても、照明計画を変えることはありません。順序としては、全体のプランを考えるのと同時に、照明も考えます。光のイメージはその場のデザインと常に分かち難い要素なので、床があって壁があればもう、その時点で照明も考えています。

 インテリアでまず大事なのは「素の空間をつくる」こと。はやりすたりとは関係のない、部屋の骨格のようなものです。これがきれいに成立していれば、そこに何をもってきても揺らがない。それだけに重要なのが間接照明です。光と影がきちんとできていないと、インテリアの印象は全く違ったものになってしまう。そのためには、器具をデザインとして見せるもの以外は、できるだけ照明器具や光源の姿は見せたくない。その方法や整理の仕方も考えていきます。

 店舗に限らず、影をうまく使えるかどうかが、照明計画のコツだと思います。

──照明デザイナーと組む場合は、どのような効果を期待していますか。

君塚:組むか組まないかは、仕事の規模にもよりますし、自分たちが考えたことをさらにもう一歩、踏み込む必要があると感じたときに依頼します。山下裕子さんと組む場合が多く、お互いの考え方も理解しているので、いいコラボレーションができていると思っています。最初にデザインをする時点で、こちらが決めていることを、さらにより良く表現するためにはどうするか。そのことを一緒に練っていきます。

 具体的に言えば、照明のプロは光の種類をたくさん把握している。僕らはここの光は、ハロゲンのキラキラした感じがいいか、CDMの強い光がいいか、蛍光灯がいいかを決めることはしますが、そこから先はプロに聞くんです。同じハロゲンのキラキラした照明でも、タイプの違う光を何通りも知っていますから。新しい光源の情報などにももちろん詳しい。そうすることでイメージをより確実なものにでき、新たな発見もあります。そこからさらに、膨らませることも可能になってきます。

 互いのやり取りは、口頭で説明することが多いです。CGはあれば使う、という程度。すごく具体的です。「壁から何cm光を出したい」とか。そのことで何がしたいのか、きちんと理解してくれる相手と組むことが大事ですね。

──照明計画は、平面計画以上にクライアントに説明するのが難しいと思います。どのように説明していますか。

君塚:商業施設の場合は、何店舗か同じクライアントで展開することもありますので、回を重ねていけば互いに共通の認識ができます。「あそこのあの光はいいですね」というような話ができるようになる。でもそこまでいくのは大変です。形のないものについて説明しないといけないため、こちらが自信をもっていないと相手が不安になる。「その照明がどれだけ魅力的で効果的か」を、確信をもって話さなければいけません。もちろんそれだけのものを考えている自信はあるのですが、伝える方法となるとまた別。極力、既にできている過去の仕事を見てもらうようにしています。

 自分たちの個人的な作品でない限り、クライアントからの条件、要望は大前提。その条件をクリアしつつ、かつどう表現していくか。照明がそれをどう担えるか常に考えています。